【シリーズ・住宅不動産情報】⑫──住宅支援策による転入増の成功例
全国町村で人口増加率1位 スーパーも呼び込む南幌町

2023年11月号

人口増加率全国町村1位の原動力となった「南幌ニュータウンみどり野」

空知郡南幌町の人口が増加している。総務省が2023年7月に公表した人口動態調査で、増加数(22年1月と23年1月との対比)が153人と、北海道の市町村で最高となったほか、増加率では2・09%と全国の町村で最高に。人口増をもたらしているのは、町が進める住宅支援策による転入増だ。町は、こうした人口増に対応してスーパー誘致に動き町有地を事業者に貸し付け、道央圏連絡道路の南幌ランプ開設を見越して、新たな工業団地の造成にも取り組む。南幌町の住宅・不動産施策にスポットを当てる。

(佐久間康介)

「土地代ほぼ無料」の魅力


 南幌町(大崎貞二町長)は札幌市や江別市、北広島市に車で近いことから、ベッドタウンとして平成の初期に人口が増加した。そのきっかけとなったのは、北海道住宅供給公社による宅地造成だった。同公社は、役場を囲むように広がっていた農地を宅地に転用して造成。「南幌ニュータウンみどり野」(以下みどり野)として売り出し、町がハウスメーカーなどにセールスをかけ転入者を増やしていった。町にとってセールスでの旨味はないが、人口増は地域に活気をもたらし固定資産税や住民税に跳ね返り、歳入増に繋がる。
 この時代はバブルと重なる時期だったため売れ行きは絶好調で、人口は1990年から増え始め、98年10月には1万5人と初めて1万人を突破した。それ以前の最高は1963年前後の約8千人だが、以降は微減傾向が続き、74年の夕張鉄道廃止で減少幅がさらに広がり、「みどり野」の造成が始まるまで人口減に歯止めががからない状況だった。1990年代初めに5千人台の南幌町の人口は、「みどり野」の造成が始まって10年を経ずに倍増。札幌からの転居組が大半で、当時も人口増加率が全国1位になっている。
 しかし、バブル崩壊でこの流れは反転する。経済状況が激変し、住宅分譲に急ブレーキがかかった。道住宅供給公社は当初3600区画の宅地造成を計画していたが、同公社が2004年に特定調停したことから2400区画で分譲開発が止まってしまった。残区画について町はセールスを続けてきたが、なかなか買い手が付かず販売は進まない。687区画の売れ残りを抱え危機感を募らせた町は、16年度から子育て支援事業として最大200万円の住宅建築助成金制度をつくり、セールスに本腰を入れることにした。折しも道は同公社の支援で「みどり野」の宅地価格について50%割引する施策も打ち出した。この2つの施策による住宅価格の値引きは住宅購買層をかなり刺激した。

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