鵡川漁協で起きた役員改選妨害事件を追う
怪文書を組合員にばら撒いた“暴露系ユーチューバー”の正体

2023年11月号

1998年に厚真漁協と合併した鵡川漁協は、むかわ町内に本所、厚真町内に支所がある(写真は、むかわ町汐見にある鵡川漁協本所)

胆振総合振興局管内で太平洋に面する「むかわ町」。ししゃもで知られるこのまちを支える鵡川漁業協同組合(小谷地好輝代表理事組合長)で起きた事件を報告したい。昨年6月の役員改選の最中、多くの組合員の自宅に「暴露系ユーチューバー」を名乗る人物から特定の候補者を誹謗中傷する怪文書が投函され、その影響から役員の選任が見送られる出来事があった。当事者は悪質な名誉毀損として刑事告訴に踏み切ったが、いまだに事件は解決していない。怪文書をばら撒いた差出人の目的とは何か、そして事件の背景にあるものは──。

(本誌編集長・工藤年泰)

「ししゃも」のまち


 むかわ町(竹中喜之町長)は2006年3月に旧鵡川町と旧穂別町が合併して生まれた自治体で、人口は今年8月末時点で約7500人。近年は2018年9月に起きた胆振東部地震で大きな被害を受けたことが記憶に新しい。産業としては、内陸部の旧穂別地区が「ほべつメロン」などの農林業、海に面した旧鵡川地区が「ししゃも」などの水産業がメインという位置付けだ。
 むかわ町では、そのししゃもが「町魚」だ。まちを流れる鵡川下流域では、かつて川が真っ黒になるほどししゃもが溯上してきた逸話が残る。世界でも北海道太平洋沿岸の一部でしか獲れない希少な魚種で、スーパーなどで見かける樺太ししゃも(カペリン)とは別。ししゃもは川で産卵し海に帰るが、カペリンは川とは無縁で風味はししゃもに劣る。
 希少性と美味しさで地元を潤してきたししゃもは、昭和40年代の1968年に178トンもの水揚げを誇ったが、しだいに漁獲量が低迷。直近のピークは2017年の72トンだが、昨年はわずか64キロと過去最低となり、資源回復のため今年は休漁する運びとなっている。
 看板魚種の不漁の影響もあって鵡川漁業協同組合(組合員70名・以下鵡川漁協)の水揚げ高は近年低迷しているもようだ。
「以前は10億円を超えることもあったが、最近は5億、6億円止まり。漁師はみんなホッキやカレイ類など、ししゃも以外でなんとか生計を立てている」(組合員)
 このような中で昨年に起きたのが、ある組合員を標的にした怪文書事件だった。

怪文書は大きくゴシック体で書かれていた

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