告発・陸の蟹工船
長期虐待 隠蔽か

2023年10月号

訴えを起こした男性3人は無償で休みなく働かされた上、障害年金をほぼ全額使い込まれていたという。(恵庭市内)

障碍者から年金詐取の疑い 恵庭の牧場などに賠償請求

知的障碍のある人たちが劣悪な環境で休みなく働かされ、計5000万円以上の年金を詐取されていた。当地の自治体は5年以上前にその疑いを把握していたが、障碍者たちの雇用主が元議員であると知り、見て見ぬふりを決め込んだ――。そんな告発の声が上がったのは、8月下旬のこと。語られる被害が事実なら、およそ信じ難い人権侵害が、否、あきらかな犯罪行為が長期間見過ごされてきたことになる。舞台は札幌近郊の恵庭市。言うまでもなく、この21世紀の出来事だ。


取材・文 小笠原 淳
1968年小樽市生まれ。地方紙記者を経て2005年からフリー。「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)。54歳

「許されない行為」追及へ


 8月24日午後、札幌市内。
「障碍者も人間なんだという当たり前のことが、当たり前になる世の中であるべきです」
 中島哲弁護士(札幌弁護士会)が訴える。同弁護士らが訴訟代理人を務める損害賠償請求裁判の提訴後記者会見での一齣だ。
 その日、札幌地方裁判所に訴えを起こしたのは、昨年夏まで恵庭市の牧場で働いていた60歳代の男性3人。いずれも知的障碍があり、勤め先である牧場の敷地内に建つ小屋に長く寝泊まりしていた。
「障碍のない人に対してはあきらかに許されない行為が、相手が障碍者だったら許される。そう言わんばかりの態度には強い憤りと悲しみを感じます」
 中島弁護士の言う「許されない行為」とは、長期間の虐待。先の男性3人の生活環境は劣悪で、毎日の仕事は「奴隷労働」というべき苛酷なものだったという。賃金は発生せず、それどころか雇用主から多額の年金を騙し取られていた。3人のうち1人は実に半世紀近く、残る2人も約20年間にわたり、そうした虐待・詐取の被害に遭い続けていたというのだ。

牧場主だった元市議会議長(故人)の妻は、虐待・年金詐取のいずれも否定した(8月下旬、恵庭市内)

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「適切に対応しなかった自治体の責任は重い」と、被害男性らの訴訟代理人
(8月24日午後、札幌市内)

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