鈴木翁二特選漫画館
《透明通信》

2023年09月号

『透明通信』(1971年『ガロ』10月号初出)を収めた単行本の数々。下段左端は最新刊のイタリア語版

鈴木翁二(すずき・おうじ)1949年愛知県生まれ。漫画家・画家。69年ガロに発表した「庄助あたりで」でデビュー。
著書に『マッチ一本の話』『海のタッチ』『こくう物語』『東京グッドバイ』『オートバイ少女』など多数。
CD『未明ノ歌』『ダ世界』を発表するなどシンガーソングライターとしても活動。浦河町在住。73歳

本誌表紙絵でお馴染みの漫画家・鈴木翁二さんの初期傑作を披露したい。収録した『透明通信』は、伝説の漫画雑誌「ガロ」1971年10月号で初めて世に出た作品である。漫画家デビューを果たし、水木しげるプロダクションからスカウトされた青年はしかし、どうしようもない寂寥を抱えていた。水木プロ退職後、「心の通じる《現実》の誰かと話がしたくって」描いた本作は、時代を超え読者の胸に響く──。

体とさびしさ 鈴木翁二


『ガロ』という漫画雑誌で私はデビューをした。すると画風を見た水木しげるプロダクションから来ないかと声がかかった。20歳の私には愉しい職場のはずだったが、抱えるモンダイがあった。夜ニ眠レナイという滑稽でシンコクなテーゼだ。アタマの中で四六時中考えている漫画の方法の、その妄想の歯車の回転が、余程体を酷使してからでないと止んではくれない。
 当時、眠れない真夜中は昼間よりもウンと現実感がアリアリで煙草のケムさえ真実味を帯びていた。ところが真夜中のその現実感が削られていくようになった──回り過ぎる歯車が空転に見えるように。そんな逆説的夜には、心ばかりか体までも空想に浸食された気がして徒労感が私の感情を奪っていく。これは水木プロを退職後にますます露骨になった。さびしさ以外に私はなんの感情もない透明人間らしい──。
 そういう日々に『透明通信』と名付けたこの漫画を描いた。心の通じる《現実》の誰かと話がしたくって、出来ぬのならその代わりに──話しかけているその心持ちを忘れぬようにと描いた。さびしさは感情か? こういう気持ちを人はどれほど味わうか? と他人に訊いてみたかったが自分で考えるより他方法を知らなかったから時空の向こうの男の児へ目をやった。

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