Interview
北海道観光振興機構の小金澤健司会長に訊く【PART2】
観光は大いなる「総合産業」 北海道の大地は可能性の塊

2023年08月号

道民は北海道のポテンシャルに気づくべきと小金澤会長

(こがねざわ・けんじ)1960年5月生まれ、愛知県名古屋市出身。名古屋芸術大学中退。コールセンター起業のために来道し、2000年5月札幌でアイティ・コミュニケーションズ設立、08年12月北海道マーケティング総研設立、14年11月クール北海道設立、15年8月MILAIイノベーション設立。5年前アイティ・コミュニケーションズで会長に退き、22年6月に北海道観光振興機構会長に就任。63歳

全員が汗をかく体制で再出発

先月号でお伝えした通り、公益社団法人北海道観光振興機構(本部札幌)でかつてない大改革が始まった。定款変更という組織の基本に切り込み、無為に膨れ上がっていた役員を大幅に削減。組織を筋肉質の実働部隊に変えることが6月下旬の総会で了承された。だが今回大ナタをふるった小金澤健司会長(63)の目標は、重厚長大の古い殻を破ることに留まらない。その目線は、観光という総合産業が持つインパクトを最大化させ、「可能性の塊」である北海道を世界有数の〝観光大国〟に押し上げることに注がれている。そのために解決すべき課題とはいったい何か──。「北海道観光の明日」を考える連続インタビュー第2弾をお届けする。

(6月30日取材 工藤年泰・佐久間康介)

|人数を絞るのが目的ではなく仕事をしてもらうことが狙い|


 ──6月26日の総会を受け、マスコミがいっせいに「役員体制見直し」などと報じています。「重厚長大な組織からの脱却を目指す」とされていた改革が始まりました。
 小金澤
 今回の総会での一番のポイントは、機構の定款変更が了承されたということ。副会長の人数がなし崩し的に13名まで膨れ上がってしまったのは、そもそも定款に「13名以内」と規定されていたことが大きい。そこを「5名以内」にし、理事の規定も「32名以上45名以内」から「3名以上20名以内」に変更し、かなり絞りました。そのうえで今回は副会長3名、理事12名を任命させていただいた。
 ──副会長は、トーホウリゾートの唐神昌子社長、日本旅行北海道の清水信一社長、互信ホールディングスの平島誉久社長という顔ぶれです。
 小金澤
 唐神さんと清水さんは、旧体制での理事から副会長に就任していただいた。唐神さんは日本旅館協会北海道支部連合会の会長でもありますし、女性を登用したいという思いもありました。清水さんは日本旅行業協会北海道支部の支部長でもあり、エージェントの知見を活かしてもらいたい。タクシー業界に身を置かれている平島さんは新理事のひとり。観光における二次交通(拠点となる空港や鉄道の駅から観光地までのアクセス)の問題が非常に大きな課題となっており、今まで観光に直接かかわっていない運輸業界から物事を見てもらいたいと、お願いしました
 ──唐神さんは「観光地づくり」、清水さんが「プロモーション」、平島さんが「マーケティング」を担当する。
 小金澤
 観光振興にとってこの3つの連携は不可欠です。プロモーションは、マーケティングと観光地づくりを踏まえたものでなければ十分な効果は発揮されませんが、そういう連携が今まではほとんど出来ていなかった。外部プロジェクトチームから改革の提言をもらった後に、定款変更とは関係ない組織変更を今年の4月1日付で行なったんですが、まさしくこの3つの部門に機構内部を分けたんです。
 従前の副会長と理事は担当がなかったわけですが、これからは副会長が先のテーマを担当し、基本的に12名の理事もそれらに紐づいてもらう。つまり3つのテーマの下に機構全体の組織を一体化することが今回の組織改革の肝と言えます。副会長や理事の人数を絞ること自体が目的なのではなく、担当をしっかりと持ってもらい仕事をしていただくのが本来の狙い。新体制では全役員に汗をかいてもらわなければなりません。今までの副会長や理事で再任されなかった皆さんからも相談役や顧問という形で助言や提言を頂戴する機会をしっかりつくっていきます。

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6月26日の総会後に報道陣の取材を受ける小金澤会長と副会長の3人(小金澤氏の隣から唐神昌子氏、清水信一氏、平島誉久氏)

機構では北海道には四季折々の魅力があることをアピールしている

「有言実行」を自分のテーマにしている小金澤氏

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