首相批判封殺の波紋㉘
「これでは終われない」

2023年08月号

傍聴席が拍手に満ちた一審判決とは対照的に、高裁判決の法廷は重苦しい空気に包まれた
(6月22日午後、札幌市中央区の札幌高等裁判所前)

一部逆転判決に双方上告 野次排除国賠、最高裁へ

「社会通念に照らして客観的合理性を有する」。1年あまり前にほぼ全否定された警察官たちの行為が一転、司法のお墨つきを得た。首相演説野次排除事件をめぐる争いで、6月下旬に札幌高等裁判所が示した結論だ。一審が認めた表現の自由に関する判断こそ変わらなかったものの、当事者2人のうち1人への排除行為を軒並み適法とする一部逆転判決。警察・市民の双方が上告に踏み切ったことで、舞台は地元を離れて最高裁へと移ることになる――。


取材・文 小笠原 淳
1968年小樽市生まれ。地方紙記者を経て2005年からフリー。「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)。54歳

一審判決の一部取り消し「安倍やめろ」に逆転敗訴


 想定外の展開だったといえる。少なくとも、訴えを起こした2人はその結果を予想していなかった。
「主文1、原判決主文第1項を取り消す。2、前項の部分につき被控訴人1の請求を棄却する」
 6月22日午後、札幌高等裁判所。40秒間ほどで判決言い渡しを終えた黒衣の主たち――裁判長・大竹優子裁判官、右陪席・吉川昌寛裁判官、及び左陪席・戸畑賢太裁判官の3人が、無表情で約70人の傍聴人に背を向ける。ややあって法廷の沈黙を破ったのは「ナンセンス!」の一声。ほどなく裁判所庁舎前で3枚の垂れ幕が掲げられ、『一部勝訴』『不当判決』そして『これが民主主義か!?』の文言が示された。最後の一枚を手にしていた札幌市のNPO職員・大杉雅栄さん(35)は、集まった報道陣にコメントを求められ、憮然とした表情で「頭の中が真っ白」と語ることになる。
 2人の地元市民が警察を訴え、一審判決では原告側の全面勝訴となった国家賠償請求訴訟。警察側の控訴を受けて二審の高裁が出した結論は、1人の勝訴を取り消し、賠償請求を退ける決定だった。

安倍晋三氏銃撃事件の直後、札幌地裁には原告勝訴判決に批判的とみられる投書が少なくとも1通届いていた
(記者の公文書開示請求に対して地裁が一部開示した文書)

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「判決は『結論ありき』で、裁判所は証拠を都合よく当て嵌めた」と国賠弁護団ら(6月22日午後、札幌市内)

丸山道議の問いに北海道警の鈴木本部長は「法律に基づいて措置を講じた」と答弁――この翌日、道警は敗訴部分について上告した
(7月5日午後、北海道議会本会議場

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