道警不祥事から考える〈64〉
侵入警官、余罪次々

2023年07月号

被害者6人、加害者1人――その全員が全12戸のアパートに住んでいた(江別市内)

自宅アパートで重ねた犯行 元巡査部長、狙いは「下着」

本誌前々号で報告した元警察官の住居侵入事件はその後、当事者の懲戒免職処分を経て5月半ばに初公判を迎えた。この間に余罪の再逮捕・追起訴が続き、同下旬までに3つの事件が罪に問われる結果に。地元報道が「金に困り」「アイドルの“推し活”で」などと報じていた犯行動機は、実際には「女性の下着を盗むため」だったようだ。一連の現場は、元警察官自身が住むアパート。常習と言ってよい侵入行為は、4年前に始まっていた――。

取材・文=小笠原 淳

被害者6人、住所は1つ


 事件の主役は、北海道警察の男性巡査部長(41)。札幌東警察署で交通捜査にあたっていた彼は逮捕後に職を失い、「元巡査部長」となった。4月13日付でその人に本年初の懲戒免職処分を言い渡した道警は、報道発表にあたり本部監察官室長名で次のような謝罪コメントを発している。
《事実に基づき厳正に処分致しました。改めて被害者及び道民の皆様に深くお詫び申し上げます。今回の事実を厳粛に受け止め、指導監督を徹底して参ります》
 語られる「事実」とは、処分の根拠となった一連の不祥事を指す。少し溯って3月上旬に発覚した一件を皮切りに、元巡査部長による犯罪が次々と明るみに出た。5月下旬までに地元検察が立件した起訴事実だけで住居侵入4件、窃盗4件、及び傷害1件。少なくとも6人いる被害者の全員が、同じ1棟のアパートの住人たちだった。つけ加えるなら、加害者である元巡査部長もまた。
 のちの公判であきらかになったのは、今回露見した事案を含む侵入盗などが4年前から続いていたという事実。4階建・全12室のそのアパートで最上階に住む元巡査部長は、折に触れ各部屋のドアノブを回して住人の在室の有無を確認、無施錠かつ不在だった場合はそのまま室内に侵入し、鍵を盗み出しては不正に合鍵を作り続けた。犯罪と知りつつ飽かずその行為を繰り返した動機は、本人の言葉で調書に残されている。
「女性の下着が欲しくて」と。

侵入行為は4年間続いていたが、検察の立件は3度めの起訴事件までに留まるとみられる
(札幌市中央区の札幌地方検察庁)

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元巡査部長は札幌の職場でおもに交通窓口の業務に就いていたという
(札幌市東区の札幌方面東警察署)

侵入行為は4年間続いていたが、検察の立件は3度めの起訴事件までに留まるとみられる
(札幌市中央区の札幌地方検察庁)

元巡査部長は札幌の職場でおもに交通窓口の業務に就いていたという
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