告発・絶望の学府㉕
明暗分けた「紋別」

2023年06月号

退学を余儀なくされた男性の被害はハラスメント認定されず、音声データが残る複数の暴言も事実と認められなかった
(男性に届いた調査結果の一部)

退学強要、パワハラ不認定 鬱発症事案では賠償で和解

4年前の在学生自殺事案がハラスメント認定されたばかりの北海道立高等看護学院をめぐる問題で、同認定と時期を同じくして別の被害申告がことごとく認められない結果に終わっていたことがわかった。さらにまた別の被害の示談交渉では被害者がようやく納得できる額の賠償が認められるなど、事案によって首尾が大きく異なる事態に。舞台はいずれも道東・紋別の看護学院。長い闘いを強いられた当事者の声とともに、各件の顛末を報告したい。

取材・文=小笠原 淳





2度の申告、奏功せず


 千葉県の自営業男性(31)は本年4月初頭、手元に届いた報告を眼にするなり脱力した。
「気を失いそうになりました。何度見ても、見るたびに溜め息が出てきます」
 10年ほど前に在籍していた北海道立紋別高等看護学院で、複数の教員からハラスメントを受けたという。のちに道南の江差高等看護学院で告発の声が上がった問題は、紋別でも日常的に被害者を生んでいた。その1人である男性は最終的に退学に追い込まれ、卒業まで僅か2カ月を残した2014年1月に学院を後にすることに。理不尽な被害の告発を決意したのは、それから7年あまりが過ぎた21年春のこと。先述した江差の被害の表面化がきっかけだった。
 本誌などが同時期から報じてきた通り、道立看護学院のハラスメント問題では22年2月までに計53件の被害が認定されている。紋別の男性のケースはしかし、この中に含まれていない。前年に発足した道の第三者委員会の調査対象から除外されたためだ。道の担当課は当時、男性への通知でこう説明している。
《調査に必要な情報が不足していたことから、第三者調査委員会において調査対象となりませんでした》
 失意の男性は民事提訴などの法的措置を検討したが、被害から時間が経ち過ぎていたこともあり、結果的に断念。翌年初頭には被害回復を諦めるに到った。

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教育現場でのハラスメント被害は、10年前から「普通にあった」という(紋別市の紋別高等看護学院)=工藤年泰撮影

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