寿都町漁協が運営する施設が港に並ぶ(写真は寿都漁港)
“核のゴミ”の最終処分地選定問題で物議を醸し、全国的に耳目を集めた後志管内の寿都町。このまちを支える大黒柱、寿都町漁業協同組合に関する続報だ。先の4月号が地元を中心に大きな反響を呼ぶ中、本誌報道直後の3月下旬に小西正之代表理事組合長ら幹部4人が一斉に辞任したことが明らかになった。同漁協で、いま何が起きているのか──。
(本誌編集長・工藤年泰)
「小西さんたち、辞めたみたいよ」
組合員のこんな声が記者に届いたのは3月下旬。この言葉通り、小西正之組合長をはじめとする寿都町漁協幹部4人が辞任したことが同月30日、町内で開かれた通常総会で報告され、明らかとなった。
この件について同漁協から3月22日に報告を受けた後志総合振興局水産課によれば、同月20日の理事会で小西氏をはじめ理事で副組合長の塚越由一氏のほか、筆頭理事の佐藤匡将氏の3名が辞任を表明。23日には横山登監事も辞表を提出し、合計4名の幹部が理事と役職を降りることになったという。
漁協の理事会が開かれた3月20日といえば、まさに本誌4月号(3月15日発売)に掲載した関連記事が地元で大きな反響を呼んでいた頃だ。このことと今回の辞任劇が無関係とは到底考えられないが、前出の振興局には理由について説明がなかったという。
その4月号は地元のセコマや書店で瞬く間に売り切れとなり、追加注文の対応に追われた。編集部には「よく書いてくれた」「続報を期待している」といった声のほか漁協や役場がらみの情報提供の申し出が少なからずあり、地元の問題に対する地域の関心の高さがうかがえた。
そんな中で編集部宛に内容証明郵便で届いたのが小西氏(3月16日付け)、寿都町漁協(同21日付け)、横山氏(同)の代理人・長友隆典弁護士(長友国際法律事務所・札幌弁護士会)からの「ご通知」だ。
それらの内容は「4月号の記事は虚偽の事実に基づき通知人の社会的評価を殊更低下させる誹謗中傷に該当し、深刻な人権侵害にもあたる」とし、直ちに雑誌を市場から回収し、本誌のWebページ(公式ブログ・公式HP)からも該当記載を削除したうえで通知人らに謝罪することを求めるものだった。3通いずれも最後のくだりには「予告なく刑事及び民事を含めた法的手段をとることになるのでご了知ください」との文言が付け加えられていた。