◆ 2023 釧路特集/伊東良孝衆議に訊く
飼料価格の暴騰で危機の酪農 食料安全保障の確立が急務に

2023年04月号

衆議院議員 伊東 良孝氏 Ito Yoshitaka

1985年の釧路市議当選を皮切りに、道議、釧路市長を経て国政で活躍する伊東良孝衆議(道7区)は、安倍政権下で2度にわたり農林水産副大臣を務めるなど、一貫して我が国の一次産業の底上げに尽力してきた。昨年、その伊東衆議のお膝元を襲ったのが、ロシアのウクライナ侵攻による深刻な影響だ。国際的な穀物相場の上昇による配合飼料価格の暴騰で酪農と畜産がかつてない危機にさらされ、日本の制裁に態度を硬化させたロシアによる“海からの締め出し”により漁業も苦境に陥っている。「今や国防、経済、食料、エネルギーの各野で我が国の安全保障を確立していくことが急務」とする伊東衆議に釧路・道東の現状と課題を訊いた。
(2月23日取材)

|ロシアのウクライナ侵攻で問われる我が国の安全保障|


 ──昨年の今時期にロシアによるウクライナ侵攻が始まり、いまなお戦火が続いています。
 伊東
 今回のウクライナ危機で日本の国防のあり方が国民の大きな関心事になり、それに応える形で政府は我が国の安全保障をしっかり考えていく方向に舵を切りました。
 その象徴が新年度からの防衛予算の大幅増です。今まで年間6兆円に届かなかったものを5年間で43兆円という大きな予算を組むことになり、その財源をどうするかが国会で焦点になったのは周知の通りです。
 そして今回のロシアの暴挙により国際的なサプライチェーンが大きく乱れ、国防だけではなく、我が国の経済や食料、エネルギーの面でも安全保障が問われることになりました。
 経済安全保障の観点で言えば、これまで日本の製造業を支えてきた技術や製品、特許。こういったものをどうやって守り、育てていくかということです。端的な例で言えば、かつて世界でナンバーワンだった日本の半導体産業が力を失って海外に供給を依存するようになり、昨今の世界的な半導体不足でエアコンやクルマの製造がままならなくなっているわけです。そんな中で、次世代半導体の国産化を目指すラピダス社(Rapidus・本社東京)の千歳市進出は、経済安全保障の面でも大きな朗報と言えます。
 ──2月中旬に鈴木直道知事が誘致要請に出向き、ラピダス社は前向きだったようです(同月末に同社の小池淳義社長が来道し、正式に千歳市の工業団地での工場建設を表明)。
 伊東
 総投資額5兆円という規模もさることながら、関連産業の集積や千人規模の雇用も見込まれるなど相当な経済波及効果が生まれることは間違いない。地元はもちろん北海道、我が国全体にとっても非常に喜ばしい出来事です。
 もうひとつ大事なのが食料安全保障。ウクライナ侵攻の影響を受けて小麦やトウモロコシなどの穀物価格や海上運賃が値上がりし、これに円安が重なってしまいダブルパンチ、トリプルで飼料が高騰してしまった。この影響を受けて酪農や畜産は大変な状況になっています。エネルギーの面でも天然ガスをロシアに依存していた欧州は、供給を制限されてガス価格が高騰し、各国が深刻な事態になっています。
 国防、経済、食料、エネルギー。今後はこれらの分野で我が国の安全保障をしっかり確立していかねばなりません。

(いとう・よしたか)1948年旭川市生まれ。62年父の転勤で釧路へ。74年北海道教育大学釧路校卒。85年釧路市議に初当選(3期)。95年道議に初当選(2期)。2002年に釧路市長に初当選(2期)。09 年衆院選に道7区から出馬して初当選し現在5期目。16年農水副大臣、17年衆議院農林水産委員長、18年自民党水産部会長、19年9月農水副大臣に再就任。20年10月衆議院地方創生に関する特別委員長、同年12月自民党北海道総合開発特別委員会委員長、畜産・酪農対策委員長に就任。74歳

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自民党畜産酪農対策委員長として生産者の声に耳を傾けた(2022年11月26日)

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