留学生受け入れめぐる対立
懲戒解雇「不法」

2023年04月号

留学生の不適切受け入れ疑いが引き金となった裁判は、原告側実質全面勝訴の結果となった
(2月16日午後、札幌市内)

国際大訴訟で大月氏が全面勝訴 「合理的な理由欠く」と札幌地裁

懲戒解雇処分を受けた大学教授が地位確認を求めて起こした裁判で2月中旬、教授側の主張が全面的に認められる判決が言い渡された。裁判所は当時の処分を「合理的な理由を欠く」と指摘、ひいては「不法行為にあたる」と断じたが、被告の札幌国際大学(札幌市清田区、蔵満(くらみつ)保幸学長)はこれを不服として控訴した。提訴から2年半あまり、留学生受け入れ問題をきっかけに始まった争いは、なお収拾のつく兆しがない。

取材・文=小笠原 淳

「万馬券が当たった気分」


「とにかく長かった」と大月隆寛さん(64)は振り返る。勤務していた札幌国際大を訴えたのは、2020年8月のこと。その2カ月ほど前に同大から懲戒解雇処分を言い渡されたところだった。
 国際大が示した懲戒処分の理由は、おもに4つ。当時の留学生受け入れ問題を告発した前学長の記者会見に同席したこと、同前学長の理事会への申し入れに同行したこと、ツイッター投稿で大学の社会的評価を低下させたこと、及び理由なく教授会に欠席し続けたこと、の4点だ。当事者の大月さんはこれらのいずれも否定、解雇処分を不服として同大を相手どる裁判を起こし、教授の地位確認を求めることとなる。
「長かった」争いが決着したのは、提訴から2年半を経た本年2月16日。審理にあたった札幌地方裁判所(中野琢郎裁判長)は大月さんの訴えを認めて解雇処分を「不法行為」と認定、大学側に未払い賃金の支払いなどを命じる判決を言い渡した。判決後に設けられた記者会見で、大月さんは「万馬券が当たったような気分」と地裁判断を評価、「長くなったが訴えが認められてよかった」と喜んだ。

大学側の控訴により判決確定は先送りに――控訴の理由は現時点であきらかにされていない
(札幌市清田区の札幌国際大学)

大学側の控訴により判決確定は先送りに――控訴の理由は現時点であきらかにされていない
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