道警不祥事から考える〈61〉
逮捕の2警官「訓戒」

2023年04月号

昨年95件あった「監督上の措置」は報道発表の対象とならないため、その多くが〝社会的制裁〟を免れている
(札幌市中央区の北海道警察本部)

死亡事故と暴行で懲戒ならず 道警不祥事・2022年概観

地元警察への定期的な公文書開示請求で、昨年第4四半期(10―12月)に記録された警察官の不詳事の概要があきらかになった。これにより通年の記録がまとまり、2022年の不祥事が前年比で1割ほど増えた結果が判明。さらには、現職警察官が逮捕された事案2件がいずれも懲戒に到らない監督上の措置に留まっていたことがわかった。現時点で公文書から確認できる事実を、急ぎ報告したい。

取材・文 小笠原 淳
1968年小樽市生まれ。地方紙記者を経て2005年からフリー。「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)。54歳




年間総数では前年比微増


 まずは数字の確認を。
 北海道警察で昨年第4四半期(10―12月)にあった不祥事の記録を開示請求していた本稿記者は、本年1月30日に一部開示された文書を入手した。それらの記録によると、先の3カ月間に道警で記録された懲戒処分は0件、同じく監督上の措置(懲戒に到らない軽い制裁)は20件。これを含めた昨年1年間の総数は、前年(2021年)のそれを10件ほど上回る103件となった
 本頁下部に掲載した『一覧』の通り、通年の懲戒処分は計8件(免職1、停職4、減給3、戒告0)。前年は同9件で(免職1、停職2、減給5、戒告1)、22年は同比1件減の結果となった(▲11・1%)。監督上の措置は先の20件を含めて95件となり(訓戒28、注意67)、前年の85件(訓戒41、注意44)から11件増(+12・9%)。両者を合わせた総数は先の通り103件で、前年の94件を9件上回った(+9・6%)。1年おきに増減を繰り返す傾向から、本誌昨年3月号では同年の総数を130件前後と予想していたが、これは大きく外れる結果となった。
 参考までに、各地の警察を監督する警察庁が2月上旬までにまとめた全国の数字を見ると、長く漸減傾向にあった懲戒処分の年間総数が22年には10年ぶりに増加に転じ、計276件を記録したことがわかる(前年比72件増)。理由は定かでないが、事由別で例年最多の「異性関係事案」が前年の59件から93件に急増しており、この影響は小さくなかったようだ。地元の道警でも懲戒処分8件のうち2件が異性関係事案だったほか、懲戒に到らない監督上の措置では毎月のようにこれが記録されており、最も多かった3月には訓戒・注意13件すべてが異性関係の不祥事で占められていた。

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昨年最後の3カ月間は懲戒処分が記録されず、通年では前年比1件減となった
(道警が一部開示した『懲戒処分一覧』)

令和4年10月監督上の措置一覧

令和4年11月監督上の措置一覧

令和4年12月監督上の措置一覧

昨年最後の3カ月間は懲戒処分が記録されず、通年では前年比1件減となった
(道警が一部開示した『懲戒処分一覧』)

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