「不適切な言動」で処分を受けた警部補は、同じ署の同僚の親族にわいせつな行為をしたことが疑われている
(釧路市の北海道警察釧路方面本部)
警部補の強制わいせつ、未発表 処分記録では「不適切言動」扱い
昨年処分があった地元警察の不祥事で、深刻な性犯罪が疑われる事案が報道発表を免がれていたことがわかった。警察は未発表の理由をあきらかにしておらず、事件の経緯も公表していないが、取材によればその犯罪で被害を受けたのは加害者と職場を同じくする警察官の親族だったという。第三者機関の議決が伝わった別のわいせつ事件の動きと併せ、組織的な隠蔽が疑われる警察不祥事の実態を報告する。
取材・文=小笠原 淳
北海道警察で昨年第3四半期(7-9月)に処分があった職員の不祥事については、同年12月号の本誌面で報告した。同時期、道警では計4件の懲戒処分が記録されているが、報道発表の対象となったのはこのうち3件。残る1件は現在に到るまで公表されていない。
未発表の1件は、道内いずれかの警察署に所属する男性警部補が昨年8月24日付で「減給1/10×6カ月」の処分を受けた事案。『懲戒処分一覧』には、その概要が次のように記録されている。
《異性関係不適切事案/異性に対し、不適切な言動をした》
この『一覧』と同時に一部開示された『処分説明書』では、不祥事の時期が「令和4年6月25日午後6時頃」と特定されている。ただ、警部補の行為については「不快感を与える不適切な言動をした」とあるのみで、具体的にどういう「言動」があったのかは読み取れない。
本稿記者は昨年12月13日、このケースについて道警にさらなる公文書の開示を求め、官庁御用納め直前の同27日に一部開示決定を得た。関連文書を入手したのは、本誌前号締め切り直後の本年1月10日午前。開示された記録を紐解いた結果、先の事案が事件捜査の対象となっていた事実を確認できた。先述の「不快感を与える不適切な言動」は、道警本部捜査一課が作成した『犯罪事件受理簿』などにはこう記されている。
《強制わいせつ》
警部補の不祥事は警察本部長指揮事件として捜査され、処分日と同じ8月24日付で地元検察に送致されていた。事件発覚の端緒は「届出」だったという。