〝農と食〟北の大地から
中標津発・三友盛行さんに訊く「酪農危機」への処方箋(前編)
(みとも・もりゆき)1945年、東京都生まれ。都立高校を卒業後、酪農実習などをへて、68年に根室管内中標津町俵橋へ開拓入植。「1haに親牛1頭」を基本にした循環型酪農を営み、2017年に新規就農の夫婦に経営を移譲。10年、蘭学者の緒方洪庵が開設した「適塾」と適正規模の酪農にちなんで私塾「酪農適塾」を設立。現在は毎月1回、「土・草・牛」の観察や座学を中心にした学びの場などを主宰する。93年から6年間、中標津町農協組合長。著書『マイペース酪農』(2000年、農文協)ほか
外部資材に依存し“重装備”で目指した生産増で苦境に直面
牛乳・乳製品の需要が低迷し、穀物やエネルギーの高騰、個体販売価格の暴落などが常態化してきた北海道の酪農業界。国の「畜産クラスター事業」などを使って施設や設備に多額の投資をした“重装備型”の農場ほど厳しい状況に直面している。そんな中で、社会や消費生活の変化を直視できず、一過性の現象と捉えがちな業界のままでいいのか──根室管内中標津町で「土・草・牛の循環」を重視した適正規模のマイペース酪農を続け、今は「酪農適塾」を主宰する三友盛行さんの意見を訊いた。
ルポライター 滝川 康治(11月18日収録)
多額の投資が招く悪循環の道
顕在化する依存型酪農の限界
「畜産クラスター事業」が始まり飼養頭数が急伸した
(出典:北海道農政部「北海道の酪農・畜産をめぐる情勢」)
酪農政策の矛盾を「早期淘汰」の交付金で対応へ
(22年11月9日付け『日本農業新聞』)
「酪農適塾」を主宰するかたわら、放牧酪農家のアドバイス役も(22年9月、中川町内で)
道内では430戸(21年3月現在)に導入された搾乳ロボット
混合飼料を調整するTMRセンター。穀物価格の高騰で運営に厳しさが増している
「畜産クラスター事業」が始まり飼養頭数が急伸した
(出典:北海道農政部「北海道の酪農・畜産をめぐる情勢」)
道内では430戸(21年3月現在)に導入された搾乳ロボット
混合飼料を調整するTMRセンター。穀物価格の高騰で運営に厳しさが増している
酪農政策の矛盾を「早期淘汰」の交付金で対応へ
(22年11月9日付け『日本農業新聞』)
「酪農適塾」を主宰するかたわら、放牧酪農家のアドバイス役も(22年9月、中川町内で)
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