【創刊50周年 特別インタビュー】北海道農業が起こしてきたイノベーションと今後
農業は「北海道の価値」を決定づける大きな存在だ

2022年12月号

(たけばやし・たかし)1956年空知管内北竜町出身。実家は稲作農家。北大農学部農学科卒業後の78年に道庁入庁。農政部で農政企画、米、酪農などを担当し農水省にも出向。2009年十勝支庁長を経て、13年農政部長。15年退職。公益財団法人北海道農業公社理事長を経て、現在は北海道エア・ウォーター・アグリ取締役社長室長、公益社団法人北海道農業改良普及協会副会長、ホクリヨウ社外取締役、66歳

元北海道農政部長 竹林 孝氏

農家戸数が著しく減っても維持されてきた北海道農業


 ──「日本の宝」と言っていい北海道農業のポテンシャルやブランド力を維持・強化するためイノベーションをどう起こすかについて伺っていきたい。最初に弊誌に対するコメントを頂戴できれば。
 竹林
 このほど北方ジャーナルが創刊50周年を迎え、昭和・平成・令和に及ぶ半世紀もの長きに亘り道内で論陣を張られてきたことに敬意を表します。
 私にとっては特に農業や食料関係の連載が出色で、食の安全・安心、有機農業、遺伝子組換え作物、アニマルウェルフェア(家畜福祉)といった食のあり方の根幹に触れる問題を真正面から取り上げてこられました。道農政の取り組みについては、手厳しいご批判を頂戴したこともあったが、一方で評価や励ましを頂いたことも多々ありました。
 こういったところにも、権力・反権力あるいは保守・革新といったステレオタイプの区分ではなく物事の本質やあるべき姿を求める貴誌のスタンスが現れているのだと思います。
 ──ありがとうございます。まず、この半世紀を振り返ると。
 竹林
 農業の産業としての大きな構成要件は土地と人です。具体的に北海道農業の姿を、昭和45年と令和2年の50年間の統計数値で比較すると、農業戸数は1世代(25年程度)ごとに半減し、令和2年は3万8000戸と50年間で23%まで減少しています。

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