地元紙・80年めの迷走〈8〉
隠蔽、組織ぐるみか

2022年12月号

不祥事公表を控えた理由は、裁判への影響を考慮したためとされているが…
(北海道新聞が10月7日付で報道各社に提供したニュースリリース)

道新、漏洩問題で当事者ら処分 メモ証拠提出は8月時点で把握

前号で報告した北海道新聞の取材メモ漏洩問題で、同メモが地元企業の役員人事をめぐる裁判に証拠提出されていた事実を道新関係者が遅くとも8月下旬に把握していたことがわかった。漏洩問題は前号締め切り後の10月7日に公表されたが、道新はそれまで1カ月半にわたり事実を伏せ続けたことになる。その後の社内処分では当事者を含む3人が制裁の対象となったものの、組織ぐるみの隠蔽疑いについては誰も責任を問われていない。小さからぬ疑問を残したまま、問題はこれで幕引きとなるのだろうか。

取材・文=小笠原 淳





80周年の節目に不信増大


「2年間隠蔽してきたことは確実。それを不問に附すような体質では、役所や企業の不祥事を批判することなんかできないでしょう」
 札幌本社に勤務する北海道新聞の中堅記者は、そう歎息する。地方の支局に勤める若手記者の1人も「同期の間で『隠蔽体質だ』と不満が溜まっている」と吐露。加えて、編集現場では言論の自由も危うくなっていると打ち明ける。
「小樽版に掲載中の元記者のコラムが年内限りで終了することになりました。事件関係者の顔写真を集めることの葛藤を書いた内容に、幹部が『違和感が拭えない』と。別にそういう取材を批判したわけでもないのに、書くのをやめさせるとは…」
 内部の不信増大を差し置き、この11月に創刊80周年を迎えた道新は同1日付の紙面でこれを大きく告知、特集記事に寄せた挨拶文で宮口宏夫社長が次のような決意を述べた。
《地域や世代を超え、より多くの方に共感をもって読んでいただける「届くメディア」を目標に、次の90年、100年に向けて力強く歩んでいく決意です》
 語られる「共感」を得るには、どうすべきか。たとえば、内部からも疑われる「隠蔽」の事実を真摯に認め、真っ当に説明責任を果たすこと。だが今の道新にそれを期待するのは、いささか難しそうだ。

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