告発・絶望の学府⑲
第三者委 調査に着手

2022年11月号

一昨年秋から匿名告発が相継いだハラスメント問題は、関与教員らの処分を経た今も完全には解決していない
(檜山管内江差町の北海道立江差高等看護学院)

江差看護・パワハラ死から3年 遺族の申し入れ受け再調査開始

昨年から本年初頭にかけた50件超の被害認定が1つの節目だったとすれば、その問題はこれからまた1つの大きな佳境を迎えることになる。本誌面で19回めの報告となる、北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題。最悪の被害といえる在学生の自殺事案で、第三者調査委員会発足の報が伝わった。本号店頭発売時までには初会合が設けられ、遠からず遺族への聴き取り調査が行なわれる可能性が高い。悲劇から3年強、事態はようやく動き始めた。

取材・文=小笠原 淳

「構造的な問題にメスを」


「ご遺族の意向を踏まえて調査に前向きな姿勢を示してくれたことは、肯定的に評価したい」
 北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で複数の被害者の代理人を務める植松直(すなお)弁護士(函館弁護士会)は、新たな第三者調査チーム発足の報を好意的に受け止める。再調査に期待するのは、パワハラの背景にある構造的な問題の解明だ。
「調査対象となる事案は1件のみですが、この事実関係を調査するだけでは充分とは言えません。昨年の第三者委が指摘した学校のハラスメント体質や、それを許し続けた構造的な問題。そこにしっかり斬り込んで貰わないと、亡くなった学生さんの無念を完全に晴らすことはできないと思います」
 語られる「1件」とは、2019年9月に起きた未認定事案。江差看護学院に在学していた男子学生(当時22)が実習の日程中に自ら命を絶った一件だ。これまでの誌面で既報の通り、亡くなった学生の同窓生らは事件の原因が教員のパワハラにあったことを確信しているが、道が昨年設立した第三者調査委はこの事案とハラスメントとの因果関係を認めるに到らなかった。

真相究明を求める遺族の声が新たな調査チーム設置に繋がった(5月16日付『受任の通知と要望について』)
=一部墨塗り処理は本誌

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=一部墨塗り処理は本誌

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