地元紙・80年めの迷走〈7〉
道新 不祥事隠蔽か

2022年11月号

2年前の未発表不祥事は、社内でも一部の関係者にしか知られていないという
(帯広市の北海道新聞帯広支社)

帯広で情報漏洩、2年間公表せず 本社では内勤者が収入激減に悲鳴

本号発売前の10月8日、地元大手紙が自社の紙面に謝罪記事を掲載している筈だ。それは本来9月末にも公表される予定だったところ、一度見送られた経緯がある。さらに言うなら、報告される不祥事が2年前の11月に発覚した時点で、同社はただちにその事実を読者へ説明すべきだった。隠蔽疑いがあかるみに出るのと前後して、編集現場では内勤記者の収入激減が問題となり、部内説明会が設けられる事態に。創刊80周年を目前に控えた北海道新聞が今、やけに騒がしい。

取材・文 小笠原 淳
1968年小樽市生まれ。地方紙記者を経て2005年からフリー。「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)。53 歳



2年前の企業取材で失態 外部に取材メモ置き忘れ


 その文書は、A4判紙3枚に出力されていた。
 1枚めの左肩に大きく「自社」「未デスク」の文字。すぐ下の行に13桁の「運用ID」が並び、続く「作成日時」「更新日時」欄には「20年11月05日15時22分22秒」とある。さらに「作成部署」「作成者」「端末」などの情報、「記事種別」「仮見出し」「本文開始」の項を経て18字×51行にまとめられた「本文」は、一問一答のメモの体裁で入力されていた。問答は、次のようなやり取りに始まる。

Q ダイイチ社長を解任されたというのは本当か。
A 解任ということになるのかわからないが、きょうの役員会で賛成多数で辞めろと言われたから、辞任届を出したということだ。役員が雇った札幌の弁護士からも「辞任か退任か選べ」と言われたから、辞任を選んだ。

 文書の作成者は、北海道新聞本別支局の記者。文中「A」の話者は地元小売業ダイイチ(帯広市、若園清社長)の前社長・鈴木達雄氏だ。一昨年11月5日午後、くだんの記者は鈴木社長辞任の情報を得て同氏に電話取材を試みた。文書は、同記者がその成果の報告として「出稿」したものだ。形としては社に「記事」を送ったことになるが、送稿の目的は経済担当記者などと取材メモを共有することにあった。

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漏洩した取材メモは民事裁判の証拠として提出され、公知の情報となった
(帯広市の釧路地方裁判所帯広支部)

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