恵庭発・賃貸住宅の擁壁倒壊をめぐる損賠訴訟の顛末
地裁は「業者の不備」を指摘 倒壊して当然の杜撰工事か

2022年10月号

隣地の掘削工事で大きく傾いた賃貸住宅の擁壁
(2019年8月10日、恵庭市内)

恵庭を舞台にした建設工事による擁壁倒壊トラブルをめぐり、倒壊防止策の有無などが争われた損害賠償請求訴訟の判決が今年5月、札幌地裁であった。賃貸マンション建設のため土地掘削を行なった際、隣地の賃貸住宅の擁壁が倒壊するトラブルが発生。裁判で原告の施主側が「擁壁に安全性がなかった」と主張したが、反訴した被告の賃貸住宅オーナーが「原告側が十分な倒壊防止策を取っていなかった」と反論。裁判所はこの反論を認め、原告側に約500万円の支払いを命じるに至った。実際に工事を行なったのは、千歳市に本社があるマーベラスホーム。裁判所が指摘した業者の倒壊防止策の不備とはどのようなものだったのか──。

(佐久間康介・工藤年泰)





あり得ない掘削工事


 JR恵庭駅から徒歩5分の住宅地に、2020年に竣工した4階建て賃貸マンションが建っており、その隣には1981年に建てられた2階建ての賃貸住宅がある。問題の擁壁は2つの建物の境界付近にあった。
 グーグルのストリートビューで示される数年前のこの付近を確認すると、賃貸住宅の隣地には一般の民家が建っていた。賃貸住宅は高床式のため1階玄関の高さまで盛土され、その盛土を支える擁壁が隣地との境界付近に沿って設置されていた。その後、隣地は更地になり、19年7月頃から鉄筋コンクリート造の賃貸マンションの建設工事が始まった。
 ところが、この施工を担ったマーベラスホームが敷地全体を深さ約1・6メートルから1・8メートルまで掘削したところ擁壁が崩れ(掲載写真参照)、中央が大きく隣地に傾いた状態になった。
 訴訟では、この擁壁をめぐり元々安全性がなかったと主張する原告・賃貸マンションオーナーのT氏と、掘削をする際の防止策が十分でなかったとする被告・賃貸住宅オーナーのK氏との争いになった。

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現在は擁壁が撤去され、隣地には賃貸マンション(右側)が建っている

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