首相批判封殺の波紋㉔
「蛮人に自戒を」――

2022年09月号

安倍晋三氏銃撃事件が起きたのは国賠判決が警備の萎縮を招いた結果――、だったのか
(2019年7月15日夕、札幌市中央区)

元首相銃撃で国賠判決が標的に 現職道議は関係者名指しで批判

本誌前号締め切り直後に伝わった、元首相射殺事件。警護の不手際が指摘されることになった出来事は、ほどなく大きな“流れ弾”を生む。3年前に札幌で起きた野次排除事件をめぐる司法判断が、その後の警備の萎縮を招いたとする言説だ。インターネットの匿名投稿から報道大手の社説・解説、地方議員の発言まで、あたかも要人警護と言論・表現の自由は両立しないと言わんばかりの声は、事情を知らない多くの人たちを誤解させた可能性がある。本来、警備と言論のいずれも萎縮してはならない筈なのだが…。


取材・文 小笠原 淳
1968年小樽市生まれ。地方紙記者を経て2005年からフリー。「北方ジャーナル」を中心に執筆 著書に『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)53歳

国賠判決に「過失を憂う」 原告らの実名挙げ「蛮人」


 札幌地方裁判所の廣瀬孝裁判長(当時)に「物申す」――。そんな主張がツイッターから発信されたのは、7月11日午後のこと。
《これ程の国家の損失を招いたのだから、君の職責の過失を憂う》
 語られる「国家の損失」とは、この3日前に伝わった事件を指す。安倍晋三・元総理大臣が遊説先で銃撃されて亡くなった出来事だ。これと廣瀬判事の「過失」には、どういう関係があるのか。投稿は「よもや無関係だと抗弁はしないだろう」と続き、さらに2人の人物の名を引いてこう締め括られている。
《大杉雅栄と桃井希生(きお)には、そんな自由がないことを諭すべきだったのだ》(ルビは本誌)
 名指しされた3人がどういう人たちなのかがわかれば、書き込みの真意は自ずと知れる。

国賠訴訟の一審判決は、パソコンやスマートフォンなどからいつでも全文を閲覧できる※ 裁判所公式サイト「裁判例検索」ページから、条件を指定して検索

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野次排除国賠訴訟一審原告を「蛮人」と称した投稿は、のちに地元報道などで物議を醸した
(北海道議会議員・道見泰憲氏のツイッターアカウントから);

警察による表現の自由侵害を認めた裁判所は、決して要人警護の必要性を否定したわけではなかった(3月25日午前、札幌地方裁判所前)

道見泰憲道議は1時間あまりにわたって質問に答え続けたが、事務所内での撮影・録音には応じなかった(7月22日午後、札幌市北区)

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