泊原発集団訴訟で勝利した原告らが新たな運転差し止め訴訟を提起
岩内の斉藤武一さんらが原告「今度は地震の問題を焦点に」

2022年07月号

運転を停止している泊原子力発電所

脱原発を目指す岩内町の住民団体代表で市民科学者の斉藤武一さん(69)ら2人が、北電が目指す泊原発の再稼働について、同社を相手取り運転差し止めを求める訴訟を札幌地裁に起こした。折しも同地裁は、同原発の廃炉を求める集団訴訟の判決で5月31日、「津波対策が不十分」として北電に原発を運転しないよう命じたばかり。この集団訴訟の原告団長でもある斉藤さんは、今度の訴訟で地震の面から泊原発の危険性を訴えていくとしている。訴状は4月4日付で、第1回口頭弁論は6月17日に開かれる。「原発の基準地振動の誤りを焦点にした今回の訴えを地裁がどう受け止めるかが鍵になるだろう」と斉藤さんは話している。
(武智敦子)

科学的根拠がない「松田式」


 泊原発は2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故後、同年4月から12年5月にかけて、定期検査のため1号機から3号機までを順次停止。北電は新規制基準の出た13年7月、原子力規制委員会に再稼働を申請したが、規制委による審査は現在も続いている。
 住民団体「岩内原発問題研究会」の代表を務める斉藤さんは、泊原発から直線で6・7キロ離れた岩内町に住む。埼玉県在住の大手メーカーの元研究者で「地震学の間違いを公にする会」の会長、田内雄司さん(81)の呼びかけでこの春、泊原発と地震の問題を焦点に新たな提訴に踏み切った。
 原発の耐震性の評価となり、原子力規制委員会の新基準適正合格審査ガイドにも定められている「基準地震動」は、断層の長さから地震の規模であるマグニチュードを想定する「松田式(※東大地震研究所の松田時彦教授が1975年に提唱した関係式)」が使われている。
 斉藤さんらは「北電もこれに基づき泊原発の基準地震動を算出しているが、泊原発周辺で過去に起きた地震を見ると、断層の長さと地震の規模に相関性はない」と主張する。

原発と地震の関係をめぐり北電を提訴した斉藤さん

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