告発・絶望の学府⑮
パワハラ死 調査へ

2022年07月号

長男を喪った女性は「なかったことにされたくない」の一心で声を上げ始めた
(5月下旬、後志管内)

江差看護・学生遺族が申し入れ 紋別の未認定事案も調査の方向

北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で、近く新たな被害調査が始まる。これまで公式に被害認定されていなかった在学生の自殺事案では、本年5月に遺族が告発の決意を固めたことで、道がようやく腰を上げた。6月に入ってからは8年前に起きた別の被害が掘り起こされる動きもあり、問題の根深さが改めて浮き彫りに。すべての膿が出尽くす日は、いつ訪れるのか――。
取材・文 小笠原 淳
1968 年小樽市生まれ。地方紙記者を経て2005年からフリー。「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)。53歳


在学生死亡、議会で追及「遺族から話あれば」と道


「これまでの報道を見て、あの被害を息子がまったく受けていなかったとは思えない。『同じことされてたんだろうな』と…」
 3年前の秋に長男(当時22)を喪った女性(45)は、告発に臨んだ思いをそう語る。道立江差高等看護学院に通っていた息子は、何事もなければ一昨年春に学生生活を終えている筈だった。
「道がうちの子のことを知らないわけがないので、こちらから言わなくても向こうから何か連絡があるのかと思っていたら、一切なかったんです。それどころか、議会では『ご遺族から申請があれば調査します』って…。上から目線というか、『人が死んでても他人事なんだ』と思いました。そういうこともあって、やっぱりちゃんと名乗り出ないと駄目なんだな、って」
 本誌などが報じてきた通り、江差看護学院では昨年春から複数の教員によるパワーハラスメント問題が表面化、のちに発足した第三者調査委員会が53件のハラスメントを認定し、教員11人の関与を指摘するに到っている。

前学院長から謝罪メールを受けた遺族のスマートフォンには、今もその文言が保存されている
(※ 画像の一部加工は本誌)

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3次救急に遜色ない体制で重症患者の救命率をアップ

平出陽子議員が北海道立看護学院のパワハラ問題を追及し始めてから、まもなく丸1年が過ぎる(6月7日午後、道議会保健福祉委員会)

紋別看護学院で退学を強要された男性のケースは、第三者委の調査対象から外れていた(昨年11月に届いた通知文)

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(※ 画像の一部加工は本誌)

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