道銀が北海道信金「寿都支店」に共同窓口を設置
業態の垣根超えた全国初の協調 道内金融機関の「分業化」に一歩

2022年06月号

道銀の共同窓口を設けるしんきん北海道「寿都支店」
(しんきん北海道提供)

北海道銀行(本店札幌市・道銀)と北海道信用金庫(同・しんきん北海道)、ATMの管理運営で知られるSocioFuture(ソシオフューチャー・本社東京都)は連携して寿都町で今年8月から新たな金融サービスの提供を始める。しんきん北海道の「寿都支店」内に道銀「寿都支店」との共同窓口を置くとともに道銀のATMも設置、人口減少地域での新しい金融サービスの在り方を模索する。また寿都郵便局のゆうちょATMで道銀のキャッシュカードが手数料無料で利用できるようにもする。ゆうちょATMで銀行カードが手数料無料で使えるのは、道内では今回が初めて。共同窓口の設置やゆうちょとの連携は、金融機関における地方支店の今後の在り方を示すモデルケースとなりそうだ。
(佐久間康介)







地域金融が新たな連携で活路


 渡島半島の付け根に位置し、日本海に面する寿都町は、漁業と水産加工業が中心の町だが、ここも人口減少が大きな課題になっている。15年ほど前には5千人を超えていた人口は、直近の3月末で2720人。この急速な人口減少によって苦しんでいる業界のひとつが地元の金融機関。フルバンク機能を持つ支店を維持していけるかどうかの瀬戸際に立っているからだ。
 道銀の「寿都支店」は1954年、旧北海道拓殖銀行が「寿都支店」を建て替えた際に旧店舗建物を譲り受けて発足。76年には現在の支店に建て替えられ、68年間に亘ってこの町で支店業務を展開してきた。だが人口減少に伴って取引業者や個人利用者は減少、支店存続のための固定費負担が重荷になっていった。それでもこれまで道銀は「支店は閉めない」という方針を貫き、5年ほど前には7人体制を3人体制に縮小して存続を模索してきた。
 しかし、日銀のマイナス金利政策が続き、経営環境は厳しさを増すばかり。また、地方支店には現地の高卒者を採用して充てるという人事政策も地方の高卒者減少で難しくなってきた。
 こうした背景から2021年6月に就任した兼間祐二頭取は時代に応じた地方店舗の在り方を模索することを決め、今回、寿都支店で新しい店舗運営を進めることにした。

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道銀としんきん北海道、SocioFutureの連携調印式(3月14日)。左からSocioFuture・菅原彰彦社長、しんきん北海道・前田繁利理事長、道銀・兼間祐二頭取(道銀提供)

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