“核のゴミ”レポートPART29 神恵内村長選の結果と「概要調査」に向けた動き
現職が村外候補に圧勝

2022年04月号

資源エネルギー庁が〝核のゴミ〟最終処分地の選定のために公表した「科学的特性マップ」では、神恵内村には泊村と隣接したわずかな地域(写真)しか〝適地〟がない

“核のゴミ”を埋めるより「地域の宝」を掘り起こせ

“核のゴミ”最終処分地の選定に向けた事前調査が進む中、昨年10月の寿都町長選に続いて、神恵内村長選が行なわれた(2月27日投開票)。6選をめざした現職の高橋昌幸氏(71)が559票を獲得して圧勝し、泊村在住の脱原発運動家・瀬尾英幸氏(79)は48票で惨敗した(当日有権者数は706人。投票率89・24%)。今後の焦点は「概要調査」に対する住民投票などの行方に移るが、その一方で幌延深地層研究センターをめぐり、処分事業と研究の区別を曖昧にする動きも──。泊原発関連4町村と「核ゴミ処分地」関連2町村の住民グループは、地域資源を活かした地域づくりに転換しようと「振興プラン」を作成する作業を始めた。
(ルポライター・滝川 康治)



事前の予想どおり現職が圧勝 村内に基盤なく対抗馬は惨敗


「(村長選は)文献調査の問題だけで戦ったわけではなく、20年間、村民の協力で(村の運営を)出来たことを更に深化させると訴えた──そこに期待された結果かと思います。投票率は、後援会も90%前後になると考えていたので、ほぼ予想通り。相手は48票、そして無効票(23票)が多かった理由には、いろんな要素があるでしょう。白票を投じた人たちが、わたしと一緒に村の発展に力を注いでくれるよう心がけたい」
 当選後の記者会見に臨んだ神恵内村の高橋昌幸村長は、圧勝に終わった選挙戦を淡々と振り返った。文献調査に対する賛否に係わらず、こうした選挙結果は大方の人が予想した範囲内のもの。同じく6選をめざして出馬した現職の片岡春雄氏に対し、前町議の越前谷由樹氏(元助役)が激しく追い上げた、昨年10月の寿都町長選とは対照的な結果だった。

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相手候補を大差で下し、6選を果たした神恵内村の高橋昌幸村長
(2月27日夜)

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高台から望む神恵内村の中心部。村の人口は約800、「30 年後には村が消滅するのでは…」と案じる声も

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