Interview 道内最大の客室数を運営する星野リゾート・星野佳路 代表に訊く
入り込み数を気にする愚 キモは顧客満足の深掘り

2022年03月号

(ほしの・よしはる)1960年4月29日、長野県北佐久郡軽井沢町出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程終了。91年実家の「星野温泉」代表に就任。95年星野リゾートに社名変更。宿泊施設を所有せず運営に徹するビジネスモデルを掲げ、全国でリゾートホテルや都市型ホテルを展開。61歳

「もう北海道の事業者と呼んでほしい」

星野リゾート(本社・長野県軽井沢町)が2022年に入って北海道で相次いで宿泊施設を開業し、近く道内で最大の客室を擁する運営会社になる見込みだ。北の大地での展開の強化は、この2月から始まったコンビニチェーン地場大手のセコマ(同・札幌市中央区)との提携でも鮮明だ。観光事業のカリスマ的存在として知られ、全国から進出のオファーが届く星野佳路代表にセコマと組んだ理由をはじめ北海道観光の課題と処方箋を訊いた。キーワードは「ブームをつくるな」である。
(聞き手・佐久間康介)※12月15日、OMO 3旭川で収録

|道民のセコマ愛に感服して共同のプロジェクトを始動|


 ──セコマと連携した「旅々貯まる北海道旅プロジェクト」が2月1日からスタートします。同社と手を結んだ経緯は。
 星野
 毎年2月下旬から3月頃に北海道に来てスキーをする機会が多いのですが、一緒に来ていた道産子スタッフの「セコマ愛」がとても深いことに驚いたのがきっかけです。
 車でコンビニに行く時に、彼らはわざわざ遠くのセコマまで行こうとします。セコマという会社は、なぜそれほどまでに道民を惹きつけるのか、と研究を始めました。
 そうすると、ネットワークの大きさはもちろん、それらを維持するための活動が、マイケル・ポーター(※アメリカの経営学者)の戦略に一致していました。そう簡単には、国内大手コンビニに負けない仕組みができあがっていたのです。
 そういうセコマと組むことは、私たちにとって、すごく良いことだと思いました。もし北海道にスキーを滑りに来ていなかったら、気づかなかったかもしれません。
 ──そのセコマとの連携では、セイコーマートクラブ会員限定で宿泊価格を最大3割引にする大胆な作戦です。
 星野
 一般的にホテルの宿泊価格は、ダイナミックプライシング(※需要に応じて価格を変動させる仕組み)を採用していますが、変動幅が大きすぎる難点があります。
 この中で私たちは10年ほど前から変動幅を狭めようと努力してきました。顧客との信頼関係をつくっていくブランディングの観点から言うと、変動幅の大きいダイナミックプライシングは信頼に繋がらないからです。
 私たちは変動幅を狭めて、ある程度高単価を維持してきました。価格設定の高い土曜日やゴールデンウィーク、お盆での満足度もしっかりと取ってきました。それだけのお金を払っても満足していただけるサービス、商品になっていると思います。
 北海道観光は、東京や大阪などの人たちに来てもらうことを想定していますが、インバウンドの急増で総需要が増えたので、価格設定のレベルも高止まり傾向にありました。
 北海道の方々にもっと頻繁に私たちのホテルに来てもらうため3割ほど下げても、我々はそれを吸収できる体質になっています。こちらの旅の事情に合わせ世界標準から3割ぐらい値引くのは理にかなっています。

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