広域紋別病院の医師流出問題を追う
昨秋から内科医3人が退職 内部対立が生む地域の不幸

2022年03月号

地域住民の命を守る拠点となっている広域紋別病院


広大なオホーツク西紋地区の医療を預かる広域紋別病院(曽ヶ端克也院長・150床)の医師流出が止まらない。昨年秋にかけて幹部クラスの内科医2人が退職。今年に入ってからも1月末に同じく内科医1人が病院を去った。病院の方向性をめぐって生まれた内部対立が主な原因とされるが、それにより不利益を被るのは地域と患者にほかならない。今回の内部対立の背景にあったものとは何なのか──。「病院としての課題と再生」をテーマに広域紋別病院の医師流出問題を追う。(本誌編集長・工藤年泰)

生まれた軋み


 広域紋別病院の前身は、かつての北海道紋別病院。2011年4月に運営が北海道からオホーツク西紋地域の広域自治体(紋別市・滝上町・興部町・雄武町・西興部町)に移管され、15年4月には現在地(紋別市落石町)に新築移転され今に至っている。
 施設の老朽化が進み医師不足や財源にも悩んでいた道にとってかわり、紋別を中心とする1市4町が企業団を組織し、地域医療の維持を引き受けたというのがスタートまでの経緯である。
 新築移転で名実ともに生まれ変わった15年以後は、東京都の1・3倍もの広さがある西紋地域をカバーする医療の砦として機能。最もハイレベルな救命救急医療に対応する3次医療指定病院ではないものの、入院や手術が必要な重症患者を24時間体制で受け入れる2次医療を担う病院として地域になくてはならない存在となっている。
 2020年以降は、新型コロナウイルス感染症への対応にも追われたが、地域におけるコロナ患者受け入れや治療、ワクチン接種の面で大きな役割を果たしてきた。
 そんな中で住民を不安に陥れているのが、ここのところの医師流出だ。
 昨年9月から10月にかけて病院を去ったのは、副院長兼内科統括部長の粟田政樹医師(48)と総合診療科統括診療部長の園井英輝医師(47)。最近の1月末に退職したのは循環器内科診療部長の松本卓医師である(肩書はいずれも当時)。
 関西ろうさい病院や大阪大学医学部附属病院などに勤務してきた粟田医師は、2019年4月に同病院の循環器部長として着任し、半年後に副院長に昇格した幹部クラスの人物。救命救急分野のスペシャリストである園井医師は粟田医師を慕う形で20年10月に着任し、粟田・園井医師は文字通り広域紋別病院における内科・救急領域の要として力を尽くしていた。
 特に粟田医師の着任で、それまで設備はあったが人材の関係で行なえていなかった経皮的冠動脈インターベーション(PCI)を手掛けられるようになり、狭心症などの患者に朗報をもたらしたことは大きなトピックだった。
 一見、順調に進むかに思えた広域紋別病院だが、そうはならなかった。

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