狩人、銃を奪われる⑥
「著しく妥当性欠き、違法」

2022年02月号

池上治男さんは、裁判提起から現在に到るまで「私だけの問題ではない」と訴え続けている
(12月17日午前、札幌地方裁判所前)

ヒグマ駆除ハンター全面勝訴 完敗の公安委はまさかの控訴

地元公安委員会の処分は、法廷で全否定された。「社会通念に照らして著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用したものと言わざるを得ない」――。自治体の要請でヒグマを駆除したハンターから銃を取り上げる措置を、裁判所ははっきり「違法」と断定。これにより各地の獣害対策が正常化するかに思われたが、完膚なきまで潰された筈の被告がその結果に水を差し、争いは高裁に持ち込まれることに。駆除の担い手を狙い撃ちにする当局にはどんな目的があるのか、その真意はもはや測りようもない。
取材・文=小笠原 淳

“事件”から3年めの決着 取消処分、司法が全否定


 札幌地方裁判所の廣瀬孝裁判長が言い渡しを始めてから5秒も要せず、原告席に掛ける中村憲昭弁護士(札幌弁護士会)は勝ちを察した。「主文。1、北海道公安委員会が原告に対して…」
 傍聴席を埋める地元猟友会関係者たちが、身じろぎもせずその声に耳を立てる。
「…ライフル銃所持許可取り消し処分を、取り消す。2、訴訟費用は被告の負担とする」
 理由の朗読を含め、言い渡しは5分間ほどで終了。傍聴席から立ち上がったハンターたちは握手を摸した“グータッチ”を交わし合い、1人が噛み締めるように呟いた。
「判決、完璧」
 12月17日午前。有害獣駆除のあり方をめぐる2年越しの争い、否、発端となる“事件”が起きてからは4年越しとなるその問題は、地元ハンターの完全勝利で決着した。
 ――筈だった。

 砂川市の池上治男さん(72)が地元警察にライフル銃などを押収されたのは、2018年10月のこと。きっかけをつくった出来事は、その2カ月ほど前に起きていた。
 同年8月21日早朝、池上さんは市の要請でヒグマ出没現場に駈けつけ、3日ほど前から地域を騒がせていたクマの駆除を頼まれる。北海道猟友会の砂川支部長を務める池上さんは、砂川市の「鳥獣被害対策実施隊員」の1人。その日も猟銃を手に現場を訪れたが、目撃個体が体長80㎝ほどの子グマだったことから駆除を控えるよう提案、母グマのもとへ返すべきと主張する。だが市は住民の不安解消のため「撃って欲しい」と要請。現場に立ち会った砂川警察署(のち滝川署に統合)の警察官がこれに異を唱えることもなく、その場で駆除の方針が決まった。

「長く拘束され『あなたはヤクザを銃で撃つか』などと侮辱的な言葉まで浴びせられた」と、旧砂川署の取り調べを振り返る池上さん(12月17日午前、札幌市内)

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札幌地裁の廣瀬孝裁判長は異例の現地調査を決断、自ら駆除現場を歩いてバックストップの存在などを確認していた
(一昨年10月7日午後、砂川市宮城の沢)

ヒグマによる被害が減る兆しはなく、道内では池上さん提訴の3日後にも死亡事故が起きていた(北海道が公開している『ヒグマによる人身事故』一覧)

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