道警不祥事から考える〈54〉
「みんな払ってくれた」

2022年02月号

一般男性に食事を振る舞って貰う〝警察特権〟が、少なくとも1人の女性警察官には許されていたらしい
(札幌方面豊平警察署)

飲み逃げ指摘に“逆ギレ”か 女性巡査の傷害、発表せず

初対面の男性と飲食をともにして食事代の支払いを拒否、咎められると逮捕術まがいの暴力で相手を“制圧”し、怪我を負わせて逃走した――。昨年暮れに報じられたその事件は、今に到るまで公式には発表されていない。地元報道の取材に、警察は犯行態様を過少に説明、被害者代理人がこれに反論の声を上げる事態に。事件を起こしたのは「スーパーの店員」を名乗る20歳代の女性。本当の職業は、警察官だった。
取材・文 小笠原 淳 1968年小樽市生まれ。地方紙記者を経て2005年からフリー。「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)。53歳

事件・処分ともに未発表


 北海道警察が発表を控えていたその事件は、地元紙の独自取材であかるみに出た。
《札幌豊平署の20代の女性巡査が11月、マッチングアプリで知り合った30代の男性を札幌市豊平区の路上でひっかき、けがをさせたとして、同署に傷害の疑いで現行犯逮捕されていたことが23日、捜査関係者への取材で分かった》
 (12月24日付『北海道新聞』)
 記事によれば加害者の女性巡査は、食事代の支払いをめぐって被害男性と口論になり、右の犯行に及んだ。同巡査は12月になって懲戒処分に到らない制裁「監督上の措置」を受け、依願退職したという。これを追った他社の報道では、被害者の怪我が軽い擦り傷だったことなどが伝えられた。
 本稿記者は道新報道翌日の12月24日、女性巡査が所属していたという札幌豊平警察署にこれらの事実関係を尋ねたが、同署は対応を拒んで警察本部監察官室への取材を促した。その監察官室も対応を避け、結果として質問を引き取った本部広報課は、官庁御用納めの28日に次のような“回答”を寄せてきた。
《すべてお答えできません》
 発表事案ではないため記者クラブ非加盟者には回答しない、ということらしい。ならば、事実は報道大手が伝えた通りなのか。
「そうではない」と声を上げたのは地元の弁護士、即ち被害男性の代理人だった。

馬乗りになり、頭を掴み


 12月24日に報道各社へ経緯を説明し、同27日に道警への申し入れを行なった磯田丈弘弁護士(札幌弁護士会)によると、事件が起きたのは11月16日夕のこと。その数日前にマッチングアプリで被害男性と知り合った女性巡査は、身分を偽って「スーパーの店員」と名乗っていたという。2人は事件の日の午後3時半ごろに初めて顔を合わせ、札幌市内の飲食店を訪ねた。
 店では2時間ほど飲食をともにし、5時半ごろに退店。被害男性が割り勘での支払いを持ちかけたところ、巡査は「持ち合わせがない」と、退店後にコンビニエンスストアで現金を引き出して払うことを約束する。会計はいったん男性が引き受けることにし、2人は揃って店を出た。
 ところがその直後に女性巡査が豹変、「出会った男はみんな奢ってくれた」との理屈で支払いを拒否したというのだ。被害男性に初対面の相手の食事代を負担するいわれはなく、納得しかねた男性は2度ほど110番通報を試みた。


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