告発・絶望の学府⑨
謝罪・反省 どこ吹く風

2022年01月号

渦中の副学院長は一切の問いかけに応じず、同僚教員とみられる人物を自家用車の助手席に乗せて立ち去った(12月1日夕、檜山管内江差町の江差保健所前)


パワハラ副学院長ら配置換え 江差看護・被害救済なお遠く

事態はゆっくり進む。公立看護師養成校の教員らによるパワーハラスメント問題で、第三者調査結果を受けた北海道は11月下旬に主要な加害者の配置換えに踏み切り、一方で一部の教員については今後も教壇に立たせ続ける意向を示した。当の教員たちが自ら謝罪や反省の弁を述べる動きが伝わらない中、担当課は11月中旬までに保護者らに意向確認を求めていたが、寄せられた要望への回答文には「今しばらくのお時間を」なる文言が。とりあえず事態は進んでいる、極めてゆっくりと。

取材・文 小笠原 淳
1968年小樽市生まれ。地方紙記者を経て2005年からフリー。「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)。53歳

直撃に無言貫く副学院長 配置換え教員は隔離状態


 ハラスメントの中心人物は一言の弁明も口にせず、また被害者への謝罪を述べることもなく、記者の直撃取材に無言を貫き続けた。

 ――あなたの言い分を聞くために来たんですが、言いたいことはないんですか。
「……」
 ――子供たちに謝罪とか、お考えないですか。
「……」
 ――教員として適性がないとも判断されました。認めますか。
「……」
 ――亡くなったお子さんのご遺族に言うことは。
「……」
 ――何も言わないということは、第三者の指摘を認めたということですか。
「……」

 12月1日夕、檜山管内江差町。少なくとも過去6年間にわたる52件の加害行為が認められた北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で、最多の加害を指摘された江差看護学院の品川由美子副学院長は、記者の問いかけに一切言葉を発することなくその場を去った。
 被害調査を担った第三者調査委員会(山内良輔座長)が10月中旬に一定の結論をまとめたのは、本誌前号で報告した通り。発足以来4度めの会合を終えた委員らは、パワハラに関与した教員の一部について「学校で勤務を続けないほうがよい」と提言。これを受けた北海道は11月24日、当該教員らの「兼務在勤」を発令し、品川副学院長を含む“主犯級”の4人を江差保健所勤務に配置換えする人事を発表することになる。
 建前上「兼務」の形で保健所に移った4人だが、現時点ではとくに同所の業務にかかわっていないようだ。ほかの職員たちから隔離されるように庁舎2階の一室に集められた面子が終日何をしているのかは定かでなく、冒頭の直撃取材の日は定時の午後5時半ほぼきっかりに4人揃って退勤、明かりが灯り続ける1階の執務室には眼もくれず、自家用車の相乗りで職場をあとにしている。
 江差でパワハラ認定された教員は、その4人を含めて計7人。先の第三者委は少なくとも当該4人及び別の1人の異動が必要と指摘しており、最終的にはその5人が江差を去ることになるとみられる。ハラスメントを主導していた副学院長を含む2人については教員として適格性がないとも指弾されており、こちらはいずれ看護教育と無縁の職場に移ることになりそうだ。 

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無料相談窓口を設けた函館弁護士会は、これまで表面化していなかったハラスメント被害を把握することに(函館市の函館弁護士会館)

問題発覚後7 度めとなった議会には被害学生や保護者らも傍聴に駈けつけ、一部教員の異動を否定する道の答弁を驚きをもって受け止めた(11月29日午前、北海道議会保健福祉委員会)

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