現地報告──赤潮被害の実態を釧路町・小松茂町長に訊く
壊滅的な打撃を受けた昆布森のブランドウニ

2022年01月号

漁師として海を熟知している小松町長(11月16日午後、釧路町役場)

(こまつ・しげる)1958年1月釧路郡釧路町昆布森生まれ。小樽水産高校卒業後、地元で漁業に従事。1991年から釧路町議会議員3期、2003年から北海道議会議員4期を経て、2018年10月釧路町長初当選、現在1期目。63歳

漁場回復に迅速かつ複数年の支援を

漁師4代目として今も沖に出る小松茂・釧路町長が海の異変に気付いたのは、さる9月20日のことだった。長年の漁師としての勘で「ただ事ではない」ことを直ぐに察知、地元の昆布森漁協と連携してスピーディーな被害状況の把握に努めた。その後、管内自治体首長と連携して道や国に対策を強く働きかけたことは周知の通りだ。地元のブランドウニが壊滅的な打撃を受けるなど今回の被害はまさに災害級。その影響は今後数年間続く見込みで、再び赤潮が発生する恐れもある。海の異変に気付いた時から小松町長は未曾有の事態にどう向き合ってきたのか──。
(11月18日取材/佐久間康介・工藤年泰)

築き上げた昆布森ブランド地元のウニ漁継続に暗雲が


 ──小松町長が海の異変に気づいたのは、いつ頃ですか。
 小松
 あれは警報級の大雨があり役場として一晩中警戒していた翌日、9月20日のことでした。私も漁師をしているので、浜回りをした時に異変に気づいたんです。大したシケでもなかったのに、死んで白くなったウニ(エゾバフンウニ)の殻が浜にたくさん寄っていた。ウニばかりかツブ貝などもことごとく寄っていた。
 ウニが浜に寄るようなシケではなかったし、すぐさまこれはおかしいと思いました。
 1995年に爆弾低気圧がやって来た時、大シケで浜が大きな被害を受けたことがありました。その時も、ウニは浜に寄ってきましたが全部生きていた。ところが今回は、ほぼ死んでいる。変だと思いながらもこの時は赤潮が原因だとは全く考えていなかった。そんな経験などなかったからです。
 私と同じようにこの日から何人もの漁師が「変だ」と言い始め、定置網でサケが死んでいるということも耳に入ってきた。もう一度、浜回りをした時にちょうどコンブ漁をしていたんですが、今までになく弱ったコンブの姿を見てびっくりしました。
 ここの昆布森漁協うに漁業生産部会(成田昇三部会長)では、10月1日からの本格操業に備えて潜水調査を9月12日に実施したんですが、この時、海底の漁場は何ともなかった。今年は実入りも良いし安心して調査を終えたと聞いています。それから約1週間で状況が一変してしまったかっこうです。
 ──現在、町としては被害の実態把握に努めている。
 小松
 そうです。ただコンブは春先の4月、5月あたり、大きく伸びる時期にならないと最終的な被害は分かりません。問題はコンブの胞子が着床しているかどうか。赤潮が来ているころに胞子も出ているので、もし着床していなかったら大変なことになります。
 うちの漁協のタコ漁は、大きい針を海に投げ込んで引き揚げるハエ縄漁ですが、初縄を10月25日に揚げてみたところ、引っかかった数十匹のタコが溶けるような姿で死んでいたと聞いています。これまでタコ漁でそんなことは一度もなかった。海底で死んだものが引っかかったのか、生きていたタコが引っかかって赤潮で死んだのかは、まだ確認されていません。
 正直言って、まだ魚種全体の被害把握ができていないのが実状です。

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異変の報せを受けて昆布森地区の浜を視察する役場などの関係者(9月21日)

サケの定置網漁で操業中の小松町長

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