フォーラム実行委員長の越智文雄氏
(10月22日午後、道新ホール)
今の「ウィズコロナ時代」に必要なリテラシーとは何か
「北海道新型コロナ感染対策・防災フォーラム2021」(同実行委主催)が10月22日午後、札幌市中央区の道新ホールで開催された。「コロナを乗り越え新たな生活へ─北海道の挑戦─」をテーマにした同フォーラムには、評論家の小川榮太郎氏をはじめスペシャルゲストとして日本除菌連合アンバサダーでプロレスラーの蝶野正洋氏などが登場。「ウィズコロナ」時代に必要なリテラシーについて独自の提言を行なった。WEBでも同時配信されたこの日の模様をレポートする。(佐久間康介・工藤年泰)
フォーラムのトップバッターは、この日の司会も努めた防災士・気象予報士の菅井貴子氏。その菅井氏は「自然災害と新たな防災体制」と題してマイクを握った。
「札幌では今年10月半ばに27℃以上になる日が出て、10月として観測史上一番の温かさだった。今年は記録的猛暑で、記録的な日照の多さ、記録的な雨不足となったが、“記録的”や“観測史上一番”という言葉を使う頻度が増えている。北海道の気象観測の歴史は100年以上あって全国で一番長い。だから“観測史上一番”という言葉がここから出るということは、かなりの異常気象だと思ってほしい」
このような点に注意を促した菅井氏は「災害対応には、信頼できる情報を得ること、備えをすること、意識を変えることの3点が大事。コロナ禍が一段落し、これから経済活動が再開されるが、環境への投資が増えていけば自然循環や防災対策にもつながる。今後は防災力をしっかり備えた北海道を実現してもらいたい」と提案した。
続いて登壇したのは、プロレスラーで日本除菌連合アンバサダーの蝶野正洋氏。一般社団法人NWHスポーツ救命協会代表理事、公益財団法人日本消防協会消防応援団などの肩書も持つ蝶野氏は「家族と自分の生命を守るために」をテーマに講演。
同氏は、日本除菌連合アンバサダーの経験を踏まえて「コロナの感染対策は、防災ほどしっかりした情報が整理されておらず、誤った情報がたくさんある。自分たちでできる予防対策と、公共施設などでの対策を両方していかないと、人の行動そのものが止まってしまう。感染対策は、みんなの知識を生かして進んでいくべき」などと訴えた。
蝶野氏の問題提起を受けて、ひとつの対策を提示したのが三重大学大学院教授の福﨑智司氏だ。
福﨑教授の演題は、「命を守る─新型コロナウイルス感染対策と次亜塩素酸─」。同教授は「本来なら次亜塩素酸はコロナ対策の切り札なのに、国民を指導する側の人たちは十分な認識を持っていない」と指摘。「次亜塩素酸は世界で170年以上の使用実績があり、日本には世界に誇れる積み重ねてきた塩素消毒技術がある」としたうえで、次亜塩素酸水がコロナウイルスを不活化させる有効性を具体的に解説。水道水の塩素濃度を少し高めるだけで衛生的な手洗い、うがい、洗顔ができると強調した。
3氏の提言後に登壇した日本除菌連合会長で一般社団法人次亜塩素酸水溶液普及促進会議代表理事でもある越智文雄氏(あかりみらい社長)は、「コロナ禍の感染対策に必要な新たな戦略とは」テーマに講演した。
越智氏は、「やれることがあるのなら、今すぐやることが危機管理の要諦。自治体の首長や危機管理の担当者は、正しい情報を掴んだら即実行しなければならない。今晩、災害が起きて避難所に行かなくてはならなくなる可能性もあり、その場合、避難所の除菌対策が万全かを問われるからだ。最近はコロナ陽性者が減ってきたが、常に最悪を考えておくのが危機管理。自治体関係者は、情報をもっと貪欲に収集してほしい」と訴えた。