2021衆院総選挙を総括する
圧勝で軍配は自公に

2021年12月号

10区の公明党・稲津久の応援でマイクを握る自民党総裁の岸田文雄


下馬評を覆した絶対安定多数
争点にならなかったコロナ禍

コロナ禍に翻弄されてきた中で、国の舵取り役を決める第49回衆院総選挙が10月19日公示、10月31日投開票の日程で行なわれた。結果は選挙前の与党政権批判はどこへやら。自民党が絶対安定多数の261議席を得る大勝で、連立を組む公明党の32議席と合わせて盤石の政権基盤を築いた。一方の野党。下馬評では躍進が予想されていた立憲民主党だったが、蓋を開ければ公示前から14議席減らす惨敗。目下、その主な敗戦理由として野党共闘がやり玉に挙げられている状況だ。道内選挙区で繰り広げられた闘いを検証しつつ今回の総選挙を総括する。(敬称略、本誌編集部)

6区・勢力図一変の背景


 道内12選挙区のうち開票直後に当確が出たのは、NHK報道で2区(札幌市北区の一部、東区)、6区(上川6区・勢力図一変の背景10区の公明党・稲津久の応援でマイクを握る自民党総裁の岸田文雄管内)、7区(釧路、根室管内)、12区(オホーツク、宗谷管内)の4選挙区のみ。その他はいずれも深夜までなかなか勝敗が見えない接戦となった。そして開票直後に決着が付いた選挙区も大方の予想に反するような結果が見られた。
 それは新人同士が争った6区。当初、大票田である旭川市の前市長だった立憲民主党・西川将人が抜群の知名度などから優位に立つと見られたが、選挙戦が始まると元道議の自民党・東国幹がリード。結果として西川は東に追いつけないまま、およそ3万5000票という大差を付けられ決着した。
 6区の勝敗について地元から聞こえてくるのは、「西川は遊説とお詫び行脚を一緒に行なっていた」という声。この「お詫び」とは、あまりにショッキングな内容と学校関係者らの無責任な対応から全国で厳しい声があがっている、いじめが原因による旭川市内の中2女子凍死事件に関わるもの。今回の選挙で西川には、「この事件を放ったらかして衆院選に出馬した」といった批判が常に付きまとっていた。そうした中、選挙戦終盤に当たる時期には自民党が推す現旭川市長の今津寛介が市議会で「私としてはいじめであると認識しました」と答弁。前市長である西川との対応の違いが示されたことも、有権者の西川離れを加速させたと見られる。
 だが、いじめ問題だけが勝敗を左右したわけでもなさそうだ。東に近い関係者のひとりはこう話す。
「代議士も市長も革新という状況がこれ以上続けば、旭川市の衰退に歯止めを掛けられなくなってしまう。政権与党との繋がりの弱さは明らかなのですから。そういった危機感が保守の政治家先生方は元より、地元のさまざまな経済団体にありました。だからこそ何とかしなければならない、という思いが行動になって表れたのが今回の選挙だったんです」
 道内第2の都市ながら、中心市街地に百貨店がなくなるなど衰退著しい印象の旭川市。今回の選挙でこのまちの政治勢力図は、しばらくぶりに革新から保守へ一変したが、それが地域疲弊の歯止めになるかはこれからの取り組みにかかっている。
 *
 こちらも開票直後に勝敗が決した2区。前職の立憲民主党・松木謙公が10万5000票以上を獲得して、自民党の新人・高橋祐介と日本維新の会の新人・山崎泉を退けた。
 ただこの選挙区。保守陣営の不自然な動きを指摘する声がいくつも聞こえてくる。そのひとつとして、是々非々とは言え基本的に自民党と歩調を合わせる維新の候補者擁立。戦況として候補者を、現職で政治経験も豊富な松木に一本化した野党勢に対し、保守勢はいずれも新人の2候補を擁立。勝とうと思うなら最低限、高橋なり山崎なりに一本化すべきだったはずだ。そういった中、─保守陣営はハナから勝つ気はなかった─といった話も囁かれている。
 

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開票直後に勝利した立憲民主党・松木謙公

道内小選挙区で最後の当確者となった自民党・高木宏壽(中央)

自民党前職に迫り比例復活した立憲民主党・大築紅葉

対抗馬の猛追で決着が深夜まで及んだ自民党・和田義明(左)

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