告発・絶望の学府【5】
パワハラ疑い 延べ94件

2021年09月号

第三者委の会合はこれまでに3回を数えるが、調査結果がまとまる時期はまだ決まっていない(7月15日午前、函館市内)

江差看護問題で調査続く。議会では「役所仕事」追及

昨秋の被害告発からまもなく1年が過ぎる道立看護学院のハラスメント問題で、第三者調査の対象となる事案が延べ94件に上ることがあきらかになった。第三者委らは7月中にも加害教員らへの聴き取りを終え、調査結果を取りまとめる段階に入ったとみられるが、結論が示されるのは早くとも本年10月。教員の処分や学生の救済に到るまでには、なお時間がかかりそうな状況だ。(取材・文=小笠原 淳)
 

聴取対象教職員、計15人10月目途に一定の結論へ

 
 本誌などで既報の通り、北海道立江差高等看護学院のパワーハラスメント問題で学院を所管する道が第三者調査委員会(山内良輔座長)を設置したのは、本年5月のこと。同委は6月末までに被害学生の聴き取り調査を終え、7月15日に函館市内で3度めになる会合を設けた。
 この日までに調査対象事案を特定したという同委は会合後の記者会見で、学生24人から聴取もしくは文書提出を受けた結果として次のような数字を明かしている。
「調査対象事案を足していくと、延べで94件ということになります。ただ、重複している事案もありますので、実際にはもっと少ないということにはなると思いますが」
 94件の内訳は同日時点でまとまっていなかったが、おもに暴言や不適切指導が疑われる事案がみられ、全体の7割ほどが江差、残る3割が紋別の学院にかかわるケースだという。パワハラがあったと思われる時期は「2013年ごろから昨年度まで」で、関与したとみられる教員は現在江差などに在籍する教員のほかにも複数いることがわかった。
 これまでの誌面で報告した通り、江差の学院では現在、パワハラの中心人物とされる副学院長を含む6人の教員が授業から離れている。第三者委はこの6人を含めた江差の教員8人、及び紋別の教員6人に聴き取りを行なう考え。両者を合わせると計14人となるが、2校に重複して名前が挙がっている教員が1人いるため実人数としては13人で、これに「参考人」として現在の江差の学院長と同校の事務職員1人を加えた計15人が聴き取りの対象となる。
 のちに伝わった情報によれば、第三者委は7月中にほとんどの調査対象教員の聴き取りを終えたようだ。同月末には教員間のパワハラを告発していた元教員も聴き取りに臨み、在職時のハラスメント被害を裏づける資料などを委員らに提出したことがわかっている。
 実際、先の第3回会合の時点で第三者委は「7月中に一通りの調査を終えたい」としていた。ただ、これらの調査結果を取りまとめる時期についてはこの時点でまだ明示されていない。座長の山内良輔弁護士(函館弁護士会)は、地元報道の問いにこう答えている。
 

 

遅れる移転計画
課題山積み北海道医療大の北広島移転

厚真の砂利採取場で起きた産廃不法投棄問題を追う

江差パワハラ死問題で交渉決裂
道「因果関係」否定貫く

つしま医療福祉グループ 「ノテ幸栄の里」が新築移転
地域包括ケアの拠点として在宅生活を支援

聴き取り調査には元教員も協力、自身や学生らが受けた被害を証言した(7月30日夕、札幌市内)

地元議会では、過去の「役所仕事」が追及される一幕が(8月3日午後、北海道議会保健福祉委員会)

 

聴き取り調査には元教員も協力、自身や学生らが受けた被害を証言した(7月30日夕、札幌市内)

地元議会では、過去の「役所仕事」が追及される一幕が(8月3日午後、北海道議会保健福祉委員会)

 

 


遅れる移転計画
課題山積み北海道医療大の北広島移転

厚真の砂利採取場で起きた産廃不法投棄問題を追う

江差パワハラ死問題で交渉決裂
道「因果関係」否定貫く

つしま医療福祉グループ 「ノテ幸栄の里」が新築移転
地域包括ケアの拠点として在宅生活を支援

目次へ

© 2018 Re Studio All rights reserved.