告発・絶望の学府【4】
虚偽申請319万円

2021年08月号

看護学院問題で道が議会質問を受けるのは、この日が2度めとなった(7月2日午前、北海道議会保健福祉委員会)

道立看護学院で不正受給。パワハラ調査は紋別でも

道南の1校で発覚した教員によるパワーハラスメント問題は今や、北海道立看護学院全体の問題に発展しつつある。パワハラそのものが複数の学院で疑われ始めたのみならず、ここに来て別の深刻な不祥事も浮上、7月初旬には地元議会で厳しい追及の声が上がった。5月に発足したパワハラ調査の第三者委員会は6月末までに学生への聴き取りを終え、今月からは加害教員の言い分に耳を傾けることになる。被害救済策は、今なおまとまる目途が立っていない。(取材・文=小笠原 淳)
 

関与35人、職場で恫喝も「ばれたらおまえのせい」

 
 道立看護学院で新たに発覚した不祥事は、組織に沁みついたハラスメント体質と根を同じくしている可能性がある。
「…合計で1899件・318万7857円の不適切な取り扱いが確認されたところであります」
 7月2日、北海道議会保健福祉委員会。看護学院を所管する道の担当課が読み上げた数字は、江差でパワーハラスメントを疑われている教員などによる「不適切経理」の調査結果だ。本誌前号で伝えた疑惑が、この時初めて議会報告された。
 看護学院の教員たちが、長期間にわたって実態とは異なる出張旅費を不正受給していた――。
 関係者の証言を得た本稿記者は5月25日、道に対して公文書開示請求を行ない、不正受給が疑われる事案の記録などの開示を求めた。6日後の同31日付で請求を受理した道は、さらに14日を経た6月14日付で当該文書の「一部開示」を決定、『旅行命令簿』など7種の公文書計785枚の写しを開示することになる。記者のもとに届いたそれらは、先の証言を裏づける一連の「不適切事務」の記録だった。
 文書によると、江差など道立高等看護学院3校では遅くとも2013年から、多くの教員が日常的に虚偽の出張旅費を受給し続けていた。公共交通機関を使ったことにして実際には自家用車で移動し、あるいは実習先へ移動する学生たちに手配されたバスに同乗するなどして、適正な旅費との差額を不正に受給していたという。関与した職員は道内3校で計35人に上り、うち4人が管理職。13年から19年までに確認された不正受給の件数と総額は、本稿冒頭に示した通りおよそ1900件・319万円に達している。
 

不正受給発覚当時、責任者が事案の処分に「配慮」を求めていたことがわかっている(道が開示した『事故発生報告書』)

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紋別高等看護学院を卒業した女性(右手前)は、看護師の仕事の合間を縫って第三者委の聴き取りに応じ、在学時のハラスメントを証言した(6月28日午前、道内のホテルに設けられた聴取会場)

道がハラスメントの事実認定に到るころには、学生たちは本年度の初学期を終えていることになる(檜山管内江差町の江差高等看護学院)

不正受給発覚当時、責任者が事案の処分に「配慮」を求めていたことがわかっている(道が開示した『事故発生報告書』)

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