告発・絶望の学府(3)
被害回復 どこまで

2021年07月号

江差の問題は議会に持ち込まれ、質疑応答は1時間半に及んだ(5月11日午後、北海道議会保健福祉委員会)

江差看護問題で第三者委発足。パワハラ被害は道内他校でも

北海道立江差高等看護学院のパワハラ問題で、待たれていた第三者調査の体制が整った。とはいえ弁護士ら3人の委員がどこまで事実認定に踏み切るのかは未知数で、5月中旬から新たな証言を募り始めた道の担当課も調査対象事案の件数をあきらかにしていない。一方、本誌を含む報道各社にはその後も関係者の告発が相継ぎ寄せられ、改めて問題の根深さが窺われているところだ。被害はどこまで認められ、救済はいつ果たされるのか――。(取材・文=小笠原 淳)
 

被害は江差のみならず

 
 一度「ターゲット」にされたら休学・退学は避けられない――。
 北海道立江差高等看護学院でパワーハラスメント被害に遭った学生たちは、異口同音に証言する。同じ声は、同学院から500㎞以上離れた道東からも上がっていた。
「2年生の時に一度、寮の門限を守れなかったことがあり、それから1週間ほど、みんなの前で2時間以上も立たされて謝罪させられました。その後も1カ月間、毎日『反省文』の書き直しを強いられ、精神的に追い込まれて実習をまともに受けられなくなりました」
 十勝管内に住む無職女性(26)が道立紋別高等看護学院に入学したのは、2013年の春。本来ならば国家資格を得て16年3月に卒業している筈だったが、3カ月を残した前年12月に中退を余儀なくされた。高校時代は吹奏楽部の活動に熱心で、学業でも学年10位以内の成績を維持、道立の専修校に進学が決まった時は「看護師になれる」と信じていたが、その夢はあっさり潰された。理不尽なパワハラの記憶は退学後の現在もフラッシュバックし、発作的にリストカットに及んだ傷跡が腕にいくつも残る。
 本年発覚した江差の問題を他人事ではないと実感するのは、自らを追い込んだハラスメントの中心人物が現在、江差で副学院長を務めているためだ。
「まず、あの人を辞めさせるべきです。『自分は厳しく鍛えられて看護師になったから偉いんだ』とか、標的をとことんいじめるやり方は、もうやめるべきです」
 

 本誌前々号から報告を続けるパワハラ問題で5月下旬、かねてから被害学生の保護者らが設置を求めていた第三者調査委員会が発足した。同27日午後には函館市のホテルで初顔合わせがあり、非公開のやり取りが4時間半にわたって続いた。
 委員を引き受けたのは、函館の弁護士・山内良輔氏、函館短期大教授の藤井壽夫氏、及び苫小牧看護専門学校で副学校長を務める平松聡美氏の3人。27日の初会合では山内委員が座長に互選されたほか、道に寄せられたハラスメント報告を「一件一件精査した」という。
 

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