深川市立病院の“内部告発者潰し”問題で新展開
暴かれた院内での密談

2021年05月号

業者と幹部職員の癒着問題に揺れる深川市立病院

診療放射線科幹部と業者がチケットの席決めを打合せ

本誌2・3月号で報じた深川市立病院(開設者・山下貴史市長)の“内部告発者潰し”問題で3月8日、大きな動きがあった。舞台はこの日に開かれた同市の第1回市議会定例。この日、北名照美市議(共産・10期)が行なった一般質問で驚きの事実が明かされることになる。出入り業者と診療放射線科幹部が癒着していた事実は、本当になかったのか──。(本誌編集長・工藤年泰)
 

覆された市側の答弁

 
 北空知の医療を担う重要拠点、深川市立病院(藤澤真院長・203床)。同病院の診療放射線科幹部と出入り業者との癒着を告発した同科の技師が事務部局へ異動を命じられた問題で、北名市議が昨年12月8日の深川市議会定例会で追及したのは、本誌2月号で既報の通りだ。
 この日、同科幹部による業者への野球観戦チケット要求(2019年5月下旬)について釈明を求めた同市議に対して、深川市立病院の吉田博昭事務部長と市の早川雅典副市長は「事前に双方が問題に気づいたためチケットの授受は行なわれず、結果的に問題はなかった」として、公務員倫理違反や贈収賄の疑惑を否定。野球観戦チケットについてメールがやりとりされた約1カ月後の同年7月1日、業者の担当者が病院に謝罪のため訪れ、同科幹部の2名が5分程度対応したと説明していた。
 ところが、この答弁が根底から覆されたのが本年3月8日に開かれた第1回市議会定例会だった。
 この事案について再び質問した北名市議がまず明らかにしたのは、その謝罪があったとされる2019年7月1日に出入り業者と同科幹部が院内で交わした生々しい会話、録音記録の存在だ。
 結論から先に言えば、この日、業者は「謝罪」のためではなくチケット手配の進捗などを説明するために病院を訪れていた──そうとしか考えられないやりとりが暴露されたかっこうだ。
 同市議が読み上げた録音内容をめぐって議場は騒然。吉田事務部長が「そういう会話が交わされていたことは全く承知していなかった」と答えに窮し、山下貴史市長は「調査が十分でなかった。(録音内容が)事実とすれば青天の霹靂という思いだ」と驚きを隠さず、市としてこの事案の全容を解明していくと答弁するのがやっとだった。
 山下市長や病院幹部に向かって北名市議は「7月1日に業者が謝りに来たと言いましたが、これを聞いてどう思いますか。全く謝っていない。真っ赤なウソじゃないですか。虚偽答弁は絶対に許さない。許したら議会の恥、議会は全く機能しなくなる。深川市議会史上最悪のものだ」と市側を厳しく問い詰めた。
 

I課長補佐が「自分で支払った」とする9月27日分のチケット代振込書(深川市立病院提供)

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追及の手を緩めない北名市議

日ハム戦が開催された札幌ドームの喫煙ブースで目撃されたI課長補佐(2019年5月11日 中央左の人物)

日ハム戦が開催された札幌ドームの喫煙ブースで目撃されたI課長補佐(同年9月27日 中央の人物)

追及の手を緩めない北名市議

日ハム戦が開催された札幌ドームの喫煙ブースで目撃されたI課長補佐(2019年5月11日 中央左の人物)

日ハム戦が開催された札幌ドームの喫煙ブースで目撃されたI課長補佐(同年9月27日 中央の人物)

I課長補佐が「自分で支払った」とする9月27日分のチケット代振込書(深川市立病院提供)


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