ほかの多くの道職員と異なり、警察職員のみは懲戒処分の全件公表を免れ続けている(札幌市中央区の北海道警察本部)
2020年道警不祥事速報。懲戒処分など前年比4割増
例年この時期に報告している地元警察の年間不祥事記録、2020年の速報値は前年の実績に較べて4割増の結果を示した。通年の「公表率」についてはまだ確認できていないが、未発表が疑われるケースの中には連続5件の交通違反や小売店での万引きなど、警察官以外の公務員ならば公表の対象となり得る法令違反が。北海道ならではの“警察特権”は、20年代も盤石のようだ。
本稿記者はちょうど1年前の誌面で、2020年の北海道警察の不祥事が150件程度になると予想した。発表事案の総数が1年おきに半減と倍増を繰り返している傾向からの類推だったが、結果としてこの予想は小さいほうへと外れることになる。
昨年1年間で記録された道警不祥事は、独自予想の3分の2強に留まる107件。懲戒処分は前年比6件増(+85.7%)の13件で(免職3、停職2、減給4、戒告4)、懲戒に到らない監督上の措置は同25件増(+36.2%)の94件となった(訓戒47、注意47)。両者を合わせた総数は先の通り107件で、前年の同76件から31件の増加を示した(+40.8%)。
全国の警察不祥事では例年、警察庁の区分でいう「異性関係」事案がほかを圧倒して最多の処分数を記録している。昨年上半期もこの傾向は変わらず、懲戒処分114件のうちトップの異性事案は42件と、全体の37%ほどを占めていた。
ところが地元の道警では同時期、異性関係の懲戒は児童買春1件しか記録されていない。下半期でも本誌などがすでに報じた強制わいせつ未遂の1件のみで、通年では僅か2件。北海道の警察官は、異性問題に限っては極めて抑制的であると言ってよさそうだ――。
という評価はもちろん誤りで、先の「2件」は厭くまで「懲戒処分」のみの数字。より軽い監督上の措置に眼を転じると、年間を通じて異性関係事案が突出して多いことがわかる。2020年も上半期25件・下半期23件の計48件と、実に全体の半数を超えていた。一昨年の実績が69件中22件と総数の3割ほどだったのに対し、昨年は実数が倍増した上に全体に占める割合も急増したことになる。道警は異性関係不祥事が少ないのではなく、異性関係不祥事の多くが懲戒処分になっていないだけ、とみるのが正しい。
本稿締め切り時点では未確認だが、先の48件のほとんど、あるいはすべてが、報道発表されなかった可能性が高い。警察庁の指針では、監督上の措置は原則として公表の対象とされていないのだ。