野口観光グループ、コロナ禍とかく闘えり
戦争のようなコロナ禍で先を見据え従業員を守る

2021年01月号

厳しい経営環境でも穏やかな表情を絶やさなかった野口社長(11月27日夕、層雲峡のホテル朝陽亭)

いま、旅行は必要不可欠なものと確信

野口観光グループ代表取締役社長 野口秀夫氏

コロナ禍の直撃を受けている観光宿泊業界。その道内トップランナーといえる野口観光グループだが、野口秀夫社長は「これを乗り越えられれば、将来のさまざまな危機に対応できる」と前向きに未来を見据える。行政のコロナ対策については、GO TOトラベルキャンペーンによる旅行需要の大幅な回復効果を高く評価する一方、対策全般では迅速さに欠ける補助金や給付金の支給や、事前の備えが疑われる場当たり的な対策に苦言。自社の取り組みとしては営業再開時の慰労金支給など従業員に寄り添った支援に終始。来春の新規採用も例年通り継続する。かつてない厳しさに晒されながらやりがいを実感しているという野口社長に胸の内を訊いた。(11月27日収録)
 

仕事の無い期間も耐えてきた全従業員に感謝の慰労金支給

 
 ──観光宿泊業にとって今年は、大変深刻な事態に見舞われたことは言うまでもありません。2020年に関して率直な受け止めをお聞かせ下さい。

 野口 2020年の子年は私にとって6回目の年男を迎えた年。その今年は、良い意味で数十年に一度の当たり年と聞いていたんです。これは縁起が良いと期待しましたし、以前から望んでいた海外の美術館を訪ねる旅行も計画していました。ですがそれは叶うことなく、周知の通り大変厳しい事態に襲われました。

 ──そうした中、4月29日付の春の叙勲で旭日双光章を受章されるという朗報もありました。

 野口 とても光栄なことです。ですがこれは私個人に対してというよりも野口観光グループ全体として、またかつて任を務めた全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会・副会長及び北海道ホテル旅館生活衛生同業組合・会長として、業界活性化に取り組んできたことが認められたものと受け止めています。残念だったのは今上陛下への拝謁が叶わなかったこと。私は以前、藍綬褒章受章の折に現在の上皇陛下より授与を賜ったので、今上陛下へもお目通りできることを楽しみにしていましたから。
 ただ叙勲という大変名誉な経験をさせて頂いた一方で、2020年はやはり新型コロナウイルスに振り回され続けた1年でした。
 

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