秋元克広札幌市長にコロナ禍の舵取りを訊く
コロナの対応に奔走する中で見えてきた、さっぽろの強み

2021年01月号

札幌市長 秋元 克広 氏

危機克服Interview

2020年はコロナ禍で明けコロナ禍で暮れる1年となった。この中で秋元克広市長は対策に奔走、市民の安全安心と事業者の存続に向けた施策を道や国と連携しながら打ち出し、経済へのダメージを極力回避することに腐心した。だが11月以降、札幌では新規感染者数が大きく増加。GoToトラベルの対象地域から除外されるほど厳しい状況となっている。その一方、働き方の変化を好機と捉え、「アフターコロナ」を見据えて雇用推進の受け皿づくりにも取り組む秋元市長に1年を振り返ってもらいながら、現在のコロナ対策と今後の施策展開の骨子を訊いた。(11月24日取材)
 

見通せない経済の打撃回復。GoTo発着除外が追打ち

 
 ──新型コロナウイルス感染症の対応に追われた2020年だったと思います。まずは1年を振り返っての感慨を。

 秋元 まさにコロナ対応に奔走した1年でした。2019年に東京五輪のマラソン、競歩の会場が札幌に正式決定され、20年はまさにオリンピックイヤーとして札幌を世界に発信できる年になると思っていました。20年1月にスイス・ローザンヌのIOC本部を訪問、バッハ会長にもお会いしてマラソンや競歩の会場準備の状況などを説明しつつ、30年の冬季オリンピック・パラリンピック招致に向けて非常に良い感触を持って札幌に帰ってきました。
 ですが、そのころから新型コロナウイルスの感染拡大が始まりました。道に続いて国の緊急事態宣言発出によって2月末から4月、5月は大きく混乱しました。6月に入って札幌ではコロナも少し収まり、7月、8月の夏場は新規感染者が抑えられていた状況でした。呼吸器系のウイルスのため冬場に増加することが懸念されるため、市内の各クリニックなどでも発熱外来を設け検査体制を充実させようと医師会などと準備をしてきました。
 この中で10月、11月になるとインフルエンザにかかる人はほとんどおらず、コロナの患者が急速に増えていきました。市中のクリニックでも検査できる体制を充実させたことから、感染者が細かく把握できるようになったことも判明数の増加に繋がったと思っています。11月の半ばにはGoToトラベルの対象から札幌が除外されることになるなど、本当にコロナ対応に振り回された年になりました。

 ──これまで地域経済へのダメージが大きいわけですが、市としてどんな対策に取り組まれましたか。

 秋元 春先は企業の継続が一番大切だということで、相談窓口を含め融資の枠組みも国、道の対応のほかに市独自でも取り組み、飲食店の休業や営業時間短縮に協力した事業者に対して協力支援金も給付しました。保健所の感染対策にもウエートをかけました。やや収まったころには、クラウドファンディングを活用したプレミアム付き前売り食事券の販売や市内34の飲食店グループが取り組む販促キャンペーンへの補助、観光分野では宿泊料金の割引や飲食店で使えるクーポン券の発行、8月には市内観光施設の無料化など需要喚起策を市独自に実施してきました。
 

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