空知発 交通捜査への疑問符
「なぜ『物損』に…」

2021年01月号

「白い車」は写真左手の停止線を越え、交叉点を曲がって中央の建物の軒先で被害者を轢ね、そのまま右奥の方向へ走り去ったという(10月下旬、美唄市内)

美唄・現職市議の交通事故。地元警察の対応に不信の声

1年ほど前、美唄市の中心部で交通事故が起きた。地元警察が物損事故として処理したそれは、のちに作成された記録によると「乗用車」と「歩行者」の接触事故。現場から走り去った車の運転者は「気づかなかった」と言い、のちに謝罪を受けた被害者は「もう終わったこと」と口を閉ざす。だがその瞬間を至近で目撃していた市民は、事故の扱いに今も納得できていない。「なぜあれが轢き逃げにならないのか」――。
 

「119番すべきだった」

 
 その男性(68)は、1年前に見た光景を鮮明に憶えている。
「仕事場から車で自宅に向かっていた時でした。すぐ眼の前を走る白いファミリーカーが交叉点の停止線を無視して左折したんで『危ないな』と驚いてたら、曲がった先で人を轢ねたんです。ドーン、という感じで男の人が跳ね飛ばされて『痛い痛い』って叫んでたのに、白い車はスピード落とさないでそのまま走って行っちゃった。誰がどう見ても轢き逃げですよ」
 目撃した男性と同乗していた妻が車を降りて被害者に駈け寄ると、相手は近所に住む顔見知りの男性だった。すぐに救急車を呼ぼうとしたが、被害男性は「自分で病院に行くから」と通報を断ったという。現場からの110番で駈けつけた男女2人の警察官もまた、救急通報に及ばずに事故対応にあたった。目撃者の夫婦は、のちに大きく後悔することになる。「あの時、迷わず119番するべきだった」と。
 警察の記録によれば、事故の発生は2019年12月1日の午後4時48分ごろ。現場の市道に積雪はなく、当時の天気は曇り(雨上がり後)。先の夫婦によると被害男性は黒っぽい衣服を着ていたといい、「白い車」の運転者はその姿に気づかず男性を轢ねてしまった可能性が高い。
 その車は事故後、市道と交わる国道を渡った先で再び左折、「コの字」型のルートを辿って北の方角へ向かっている。経路上に建つ焼き肉店の防犯カメラ映像により、その日のうちに所有者が割り出された。
 白い車の主は、市内に住む60歳代男性。現在14人いる地元市議会議員の1人だった。
 

事故後、一般市民同士の事故では作成されない種類の公文書が残ることになった(北海道警察が開示した『重要特異交通事故発生報告書』)※一部墨塗り処理は道警

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診断書の提出を促したとする警察の言い分に反し、被害者は「出さなくていい」の言葉を記憶している(美唄市の美唄警察署)

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