「お客さまにとってなくてはならない存在に」と語る赤尾社長
コロナ禍での船出に“理の経営”で挑む
セコマ 赤尾洋昭代表取締役社長
道内コンビニ大手、セコマ(本社札幌)の社長に、実質的な創業者である故赤尾昭彦会長の長男、赤尾洋昭氏が4月1日付で就任した。故赤尾会長は丸谷智保社長と「赤尾─丸谷」ラインで経営に当たってきたが、今回、丸谷社長は代表権のある会長に就任。新時代は「丸谷─赤尾」ラインで舵取りを担う。勘に秀でていた創業者に対し、洋昭氏は理の経営者といった印象だ。折しもかつて経験したことがないコロナ禍での船出。丸谷会長とのタッグは、セコマをどう前進させていくだろうか。(6月10日取材・佐久間康介)
──コロナ禍の中、新社長に就任されました。
赤尾 就任前から新型コロナスウルスの感染が広がり、就任後も仕事のほとんどがコロナ対応に終始しました。6月になってようやく落ち着き始め、これから通常の状況に近づくのではないかと思っています。
この3カ月間は、コロナ禍を受けて社会がどう変わっていくかという予測を徹底的にやりましたが、想像していたよりは少しは落ち着くのかなと見ています。“ウィズコロナ”の時代は、お客さまの食生活や行動、休日や夜の過ごし方がどう変わっていくのかを考えた上で、どういう店舗づくりが良いのか、レイアウトや設備、商品も含めて考えていきたいと思います。
──社長就任後、心境の変化は。
赤尾 特に変わりませんが、周囲の見る目は違ってきたように感じます。身が引き締まる思いです。
──実質的な創業者だった故赤尾昭彦会長の子息として経営トップに就かれた。創業家がトップ返り咲いたことに感慨はありますか。
赤尾 特にそういうことは感じていません。丸谷(智保)も会長として経営に当たりますからなおさらです。(父が)亡くなって4年が経ちますし、私自身、経営者としての父と5~6年間は接していませんでしたから。
──会長、社長の役割分担に変更はありますか。
赤尾 社内の担当部署はほとんど変わりません。対外的な仕事に関しては丸谷が引き続き担いますが、私の出番も少しずつ増えていくと思います。基本的には2人共に経営全般を見ることになっていますが、丸谷は営業と商品の比重が強く、私は店舗開発と管理部門、店舗のオペレーションなどを担当しています。
──コロナ下での販売状況はいかがですか。
赤尾 コロナの感染拡大がどうなるかで経営環境は相当大きく変わります。一定程度、感染が抑えられればインバウンドが戻らない状態で日常生活が戻ってくるのではないかと思います。そうなればかなり見通しは立てやすくなりますが、7月には関東で第2波、北海道で第3波が来て、9月ころには世界的な第2波が来るという予測もあるので、そうなった時にはまた大きく変わってくると思います。
コロナによる外出自粛が始まってからは、午前9時から午後6時の時間帯にお客さまが増えて売り上げも伸びました。しかし、それ以外の時間帯は非常に悪い状況が続いていました。5月末に緊急事態宣言が解除されて以降は、朝と夜の時間帯の売り上げが回復傾向にあります。朝は午前6時から同9時、夜は午後6時から同9時までがかなり戻ってきました。しかし、それ以降、夜の時間帯はまだまだ戻りが遅いですね。
全体の売り上げで言うと、5月までは前年を少し割るくらいでした。中身を見ると、オフィス街にある店舗や観光地にある店舗の売り上げがかなり落ち込みました。