満身創痍の中、溢れ出たまちを思う沢山のエール
変化の痛みに耐え、再び賑わいの灯りを

2020年7月号

復活に向け闘志を燃やす青木社長(5月26日午後、北海道ジンギスカン蝦夷屋で)

APR TRADING 青木康明代表

新型コロナウイルスの感染拡大により3カ月以上もの長きにわたり営業自粛を強いられたススキノの飲食店。感染への恐怖に起因する客離れは、休業要請の解除後も回復の目途は不透明だ。加えて、いわゆるソーシャルディスタンス対策のため集客数の削減も余儀なくされ、従来通りの収益確保の望みもほぼ絶たれている。こうした中、“ススキノ再起動”を掲げるのがAPRTRADINGの青木康明代表だ。このまちの再起を目指す若き担い手の奮戦とは──。
 

第1波目の対策は選択と集中

 
 東北以北最大の歓楽街・ススキノを拠点に、居酒屋にレストラン、バー、クラブ、ひとつの食のジャンルに特化した専門店からスイーツショップに至るまで、およそ30の店舗を展開するAPRグループ(青木定信代表)。従業員数は社員で約120人。アルバイト・パートは500人を超える。
 その本部役員を兼務しながら海外事業の中核を担うAPR TRADINGを舵取りする青木康明氏が、新型コロナに伴うススキノの異変を肌で感じ始めたのは、2月中旬からだったという。
「その頃から予約のキャンセルが相次ぐようになり、特に大人数による宴会のキャンセルは止まらなくなった。そうしている間に予約自体が全く無くなる状況に陥りました」(青木康明代表、以下同)
 2月28日、鈴木直道知事が法的根拠無く発出した北海道独自の緊急事態宣言以降は「客足がぱったり途絶えた」と話す。
 その時期に講じたのが、開ける店と休む店の“選択と集中”だった。
「別の店に予約されたお客様にも来客のある店に変更してもらうお願いをしました。そういった稼働できる店にスタッフを集中させる。勤務シフトの調整などに苦労しましたが、人件費をどうするか、スタッフの雇用を守り続けるために何をすべきかを兎に角考えました。
 ただ当時は雇用調整助成金活用のアナウンスがされていましたし、家賃に関してもきっと国がサポートしてくれるだろう、と当たり前のように思っていました」
 加えて青木氏は、3月19日の道独自の宣言解除に至る感染者数の落ち着きなどから、いわゆる第2波が来るとは予想だにしなかったという。
 しかしそれから間もなく、感染者数は世界規模で爆発的に拡大。4月7日には、国が東京都など7都府県に対し、特別措置法に基づき私権制限を伴う措置を可能とする緊急事態宣言を発出するに至り、同17日には適用範囲が北海道を含めた全国に拡大されることとなった。
 

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店頭でのテイクアウト販売にも力を入れた(写真はススキノの「Bettie(ベティ)64」前)

店頭でのテイクアウト販売にも力を入れた(写真はススキノの「Bettie(ベティ)64」前)

寄せられた沢山の応援の声

 
 この事態を受け、APRグループは思い切った事業縮小を決断する。
「僅かでも飲食店営業を続ける店を残したい」という思いから、「月夜のたぬき」「黒の50」「ちょっと一杯」の3店舗は開けたが、ほかは一斉に臨時休業。そして4月上旬からは「Bettie64」「北海道ジンギスカン蝦夷屋」「月夜のたぬき」の3店舗で、テイクアウト&デリバリー事業を開始した。休業中の店の食材を同3店舗に集約させる形で商品を製造。その告知には青木氏自身、自粛期間中でも営業している法人への売り込みなどに力を入れたが、休業中のスタッフから「何かできることはありませんか」との申し出も多数寄せられ、そのマンパワーで宣伝ビラのポスティングなどにも熱心に取り組んだという。
「ビラを見て注文をくれたお客様の所へ実際配達に行くと、『ススキノの飲食店、すごく大変そうだけど頑張ってね』といった温かい励ましの声も頂きます。
 

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