緊急事態、囚われ人にも
刑事施設“自粛”中

2020年6月号

面会制限の終了時期は、今のところ決まっていない(5月上旬、札幌市東区の札幌刑務所)

閉鎖空間での感染対策急務。刑務作業では医療衣製作へ

往々にして、不景気になれば治安が悪くなる。実際、生活苦ゆえの犯罪は少ないながらも一定程度発生し続けているが、これが新たな感染症の余波でどの程度増えることになるのかは知る由もない。今後の動向にかかわらず、罪を犯した人の身を預かる施設では、いくつかの感染対策を講じ始めた。“塀の外”への社会貢献に乗り出した刑務所の取り組みなども含め、中の動きを報告したい。(取材・文 小笠原 淳)
 

相継ぐ施設内感染報告。日弁連は早期対応要請

 
 日本弁護士連合会が荒中会長名でその声明を発したのは、各地の拘置所などで新型コロナウイルス感染が確認され始めたころだった。
《刑事収容施設における集団的な感染を防止するためには、感染者が重症化し、PCR検査により陽性の判定を受けてから対応するのでは、手遅れである》(4月23日付)
 新たなウイルスは、無症状者や軽症者を介して宿主を増やすことができるとされている。外部と隔離された収容施設にそれが入り込むと、またたくまに集団感染を引き起こしかねない。
 4月初旬、初めて職員の感染が報告された北海道外の拘置所ではその後さらに7人の感染を確認、同中旬までにはほかの地域の施設でも感染者の発生が伝えられるに及んでいる。時期を同じくして感染報告が相継いだ首都圏の警察の留置施設では、施設自体が閉鎖に追い込まれた。
 

日弁連の指摘について、地元検察は「不必要な勾留はない」としている(札幌市西区の北海道警察琴似留置場)

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3次救急に遜色ない体制で重症患者の救命率をアップ

自宅待機中の刑務官は、受刑者の入浴の世話などを手がけていたという(空知管内月形町の月形刑務所)=2017年10月の内部公開時に撮影

事案発生を受け、法務省は対策の実例を挙げて各施設に注意喚起した(4月28日付・法務省矯正局『矯正施設における新型コロナウイルス感染症感染防止対策ガイドライン(概要)』)

自宅待機中の刑務官は、受刑者の入浴の世話などを手がけていたという(空知管内月形町の月形刑務所)=2017年10月の内部公開時に撮影

事案発生を受け、法務省は対策の実例を挙げて各施設に注意喚起した(4月28日付・法務省矯正局『矯正施設における新型コロナウイルス感染症感染防止対策ガイドライン(概要)』)

日弁連の指摘について、地元検察は「不必要な勾留はない」としている(札幌市西区の北海道警察琴似留置場)

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