留学生急増の背景に
「全員受かるようにしろ」

2020年5月号

上野八郎理事長(左から4人め)らは不適切入試を否定、会見では前学長との確執があきらかになった(3月31日午後、札幌市清田区の札幌国際大学)

札幌国際大で不適切入試の疑い。留学生受け入れで前学長が告発

創立半世紀を超えた札幌国際大学(札幌市清田区、蔵くらみつ満保幸学長)で昨年度末、留学生の受け入れをめぐる学内の対立があきらかになった。複数の新聞が伝えたのは、日本語能力が一定水準に達していない学生を大量に入学させ、定員充足をはかっていた疑い。報道を受けた運営法人と当時の学長は同じ日に記者会見を設け、互いの認識を強く批判し合う事態に。複数の所管庁が実態調査に乗り出す動きも伝わり、新年度以降も混乱が続く様相を呈している。(取材・文=小笠原 淳)
 

「名実ともに」方針決定。留学生受け入れ急拡大

 
《本学は50周年を起点に多数の留学生を受け入れ、日本人学生を積極的に海外に留学させ、名実ともに国際大学とする方針を決定し、行動を開始しました》
 札幌国際大学の上野八郎理事長は昨年春、創立50周年記念誌にそう綴っていた。言葉通り、同学ではこの年から外国人留学生が急増することになる。
 北海道外の私立大学から穏やかならぬ話題が発信されたのは、この2カ月ほど後のこと。昨年6月11日付で文部科学省と出入国管理庁が発表した『調査結果』には、こうある。
《入学者選考で求められる日本語能力水準(日本語能力試験N2相当)の設定不備と選考過程での不十分な確認により、日本語能力試験N3相当以下の学生が多数在籍》
 調査対象となったのは、首都圏で設立20年になる福祉系の私大。同大では多数の留学生が所在不明となっていた事実が発覚し、文科省などの調べで不適切な受け入れや在籍管理の不徹底があきらかになった。定員の充足をはかり、就学目的でない学生を大量に入学させたことが疑われる事案。文科省はこれを機に、留学生のいる大学や専門学校に対し、講義を理解できる程度の日本語能力の有無について確認の徹底を求めることになる。
 当時、海を隔てた札幌国際大でこの問題がどう受け止められたのかは定かでない。「名実ともに国際大学」となった同大では、昨年度から留学生の受け入れが急増、2018年度入試では3人だったその数が19年度には65人に増えていた。
 ほどなく、当時の学長が問題提起の声を上げることになる。
 
相当数が「N2」達せず。指摘の学長に不信任案

 
「私立大学は、定員割れを防がないと助成金が出てこない。法人事務局では、定員の充足こそが課題でありました」
 

「学内ではガバナンスとコンプライアンスが制禦できなくなっている」と、城後豊・札幌国際大前学長(3月31日夕、札幌市内)

昨春の入試では大学自らが「N2」縛りを設けていたことがわかっている(2019年度の『募集要項』)

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文科省聴取の翌日、昨年度最後の理事会が開かれ、前学長への退職金不支給が決議された(3月26日午後、札幌国際大学)

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