中川町・エゾシカ事業の補助金不正流用疑惑を追う②
「このままでは事件は闇に」

2020年3月号

エゾシカの加工施設になるはずだった「中川リプロベース」(中川町字安川)

イノチヲツナグの菊地隆氏が告発経緯と内情を本誌に激白

道北の中川町を舞台にした野生エゾシカの解体・加工施設をめぐる補助金不正流用疑惑の続報だ。「イノチヲツナグ・プロジェクト」の共同パートナーとして最初からこの事業に参加し、全国初の取り組みとしてエゾシカで皮革製品を制作する予定だったデザイナー・製作者の菊地隆氏が1月下旬、取材に応じて告発に至ったこれまでの経緯を生々しく語った。インタビューで菊地氏は自らが立案したエゾシカの利活用事業が頓挫したことに悔しさをにじませた。この事件の真相究明、そして町の責任は──。(ジャーナリスト 黒田 伸)
 

順調だったのはスタートまで

 
 ──菊地さんが代表の「合同会社エゾプロダクト」とは。
「革製品のデザインや加工が若いころから好きで、北海道の全域で増え続けるエゾシカを有効利用できないものかと立ち上げた会社です。
 鹿肉はジビエとして食べる方に関心が集まりがちですが、革製品としても利用価値があります。ただ生皮から不要な体毛やたんぱく質や脂肪を取り除き、薬品などで処理しなければなりません。そのための“なめし”工場が道内にはなく必要性を感じていました」
 
 ──特定非営利活動法人エゾシカ利活用協議会の理事長でもある。
「エゾシカを害獣として捕獲し、ただ捨てるのではなく、命のあるものをどうしたら有効利用できるのか。皮革と鹿肉に関する見識と価値を広め、有効活用の普及と振興に関する活動を行ない、産業の発展や循環型の社会環境をつくることを目標にしています。2015年に立ち上げました」
 

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事業の推移と告発に至った経緯を語る菊地隆氏(札幌市中央区のエゾプロダクト事務所)

中川リプロベースの玄関には「イノチヲツナグ」のプレートが

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