函館消防・不正手当問題〈7〉
“出会い系”疑いで懲戒、未発表

2020年3月号

その不祥事は公文書開示請求により誰でも知ることができるが、函館市消防は即時公表を見送った(昨年12月24日付『懲戒審査委員会の審査結果について』)※墨塗り処理は函館市

「被害者に配慮」と函館市消防。消防長は不正受給引責で辞意

函館市消防本部が昨年末、同市内消防署などに勤める職員2人に停職6カ月の懲戒処分を言い渡していたことがわかった。時間外手当不正受給問題の幕引き直後に露見した、新たな不祥事。年明けには消防長の辞意が伝えられたが、トップの交替で果たして組織の体質は変えられるのか。再び編集部に寄せられた告発手記も採録の上、引き続き問う。函館消防は、真の改革を成し遂げることができるのか――。(取材・文=小笠原 淳)
 

消防長「けじめ」の辞意

 
 報道大手などが函館市消防本部・近嵐(ちかあらし)伸幸消防長の辞意を伝えたのは、本誌前号発売直後の1月中旬。昨年11月に職員307人が処分を受けた時間外勤務手当不正受給問題では、消防長自身も監督責任を問われて訓告措置を受けることになったが、引責辞職の意向は同措置の決定前にも固めていたようだ。本稿記者の取材に近嵐消防長は「不正に関与した者の人数が3桁に達したころ」と、その時期を明かしている。
「すでに報道された通り『けじめをつけたい』と。12月になってからその考えを職員に報らせ、市長にも年内に辞意をお伝えしました」
 近嵐氏は一昨年4月から現職。今回の辞意により、定年まで1年を残して本年3月いっぱいで退職することになる。消防本部庶務課によれば、1月下旬時点で後任の人事は決まっていない。
 冒頭に述べた通り、近嵐氏の辞職意向は1月中旬に報じられた。一方、3週間ほど溯る昨年末に決定した職員2人への懲戒処分は、今のところ報じられていない。
 函館市消防本部が処分の公表を控えたためだ。
 
 非公開不祥事、公文書に
 
 本稿記者は消防長辞意報道直後の1月18日、函館市に対して公文書開示請求を行ない、締め切り直前の2月4日付で12枚の文書の一部開示決定を受けた。
 記者が入手したのは、12月26日付で職員2人を「停職6カ月」とした処分の記録。その1つ、前頁の写真で示した文書の「処分量定」欄には、極めて厳しい文言が並んでいる。
 

不正受給問題で議会答弁に臨む近嵐伸幸消防長――このころにはすでに辞職の意向を固めつつあったという(昨年10月1日午前、函館市議会総務常任委員会)

不正受給問題で議会答弁に臨む近嵐伸幸消防長――このころにはすでに辞職の意向を固めつつあったという(昨年10月1日午前、函館市議会総務常任委員会)

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