奪われた刑余者の人権
罪、償ったのに…

2019年8月号

衆人環視下での二十四時間監視を、警察は「安全・安心のため」だったとしている(札幌市東区の札幌方面東警察署)

警察が出所男性を公然監視。ネット上には不安煽る虚報

6月中旬、札幌刑務所を出所した男性が二十四時間体制で警察に監視され続け、その様子がSNSやワイドショーなどで発信された。法治国家では、罪を犯したことを疑われていない人が捜査の対象になることはない。実際、警察が理由なくその男性を捜査することはなかったものの、出所直後から数人の私服警官に囲まれて社会生活を再開した彼は、たちまち好奇の眼に晒されることになった。根拠のない不穏な噂さえ飛び交った“事件”の顛末は――。(取材・文 小笠原 淳)
 

情報拡散、出所直後から

 
 器物損壊などの罪で札幌刑務所(札幌市東区、中村吉一所長)に服役していた30歳代の男性が約2年ぶりに外の空気を吸ったのは、6月13日午前9時ごろのこと。直後から、最寄りの札幌東警察署の私服警察官たちがその人を取り囲んだ。予期せぬ出迎えを受けた男性は、6、7人ほどの警官に囲まれたまま敷地の外へ。以降、数日間にわたってその異様な光景が札幌市内や近郊の各地で目撃され続けることになる。
 無差別殺人を予告して刑務所を出た男がいる――。
 根拠のない噂が、同日のうちに出回った。インターネットには外出自粛の呼びかけが投稿され、地域の商業施設は「危険」と指摘された。日中の住宅街で、強面の警察官の集団は自ずと目立つ。居合わせた何人かがネット経由で彼らの写真や映像を公開、その中には男性の容貌が鮮明に捉えられた画像もあった。さらには、民放キー局がワイドショーでこの話題を煽情的に採り上げた。
 

男性と警察官らは警察署の管轄を越えて移動を続け、各地でその姿を目撃された(6月14日午後6時47分、石狩管内の国道沿い)=当地の読者が撮影

男性と警察官らは警察署の管轄を越えて移動を続け、各地でその姿を目撃された(6月14日午後6時47分、石狩管内の国道沿い)=当地の読者が撮影

中和興産
幕が開いた「杉澤劇場」

ヒグマ駆除裁判で逆転判決
全面敗訴にハンター動揺

自殺学生遺族陳述
江差パワハラ裁判で初弁論

自公大敗は本当に「政治とカネ」だけだったのか!?

中和興産
幕が開いた「杉澤劇場」

ヒグマ駆除裁判で逆転判決
全面敗訴にハンター動揺

自殺学生遺族陳述
江差パワハラ裁判で初弁論

自公大敗は本当に「政治とカネ」だけだったのか!?

目次へ

© 2018 Re Studio All rights reserved.