「事件に巻き込まれた」と説明する李智博氏
人手不足に伴い外国人労働者の存在が注目されている。技能実習などの在留資格で東南アジアから入国する外国人も増加する一途だが、同時に不正就労や彼らを喰い物にするブラック企業の問題も取り沙汰されるようになっている。昨年12月には道警が不正就労事件を摘発したが、暴力団が絡んだとされるこの事件で逮捕された建設会社の社長が自身の被害を訴えている。本人の弁明から見えてくる事件の構図と背景とは──。(本誌編集長・工藤年泰)
「警察は暴力団と関係者が共謀して起こした組織犯罪だと踏んで私を逮捕しました。しかし、決して私はこの事件で共謀などしていません。逮捕以来、反社会勢力に属する人物であるかのような色眼鏡で周囲や取引先から見られ、事業にも大きな支障をきたしています」
本誌に窮状を訴えるのは昨年12月3日、札幌中央署に入管難民法違反(不正就労助長)の疑いで逮捕された建設会社社長・李智博氏(46・通名=竹田智博)だ。同月21日に起訴された同氏は年を跨いで勾留され、保釈請求が認められたのは今年4月2日。本人の初公判は2月19日に札幌地裁で開かれ、現在審理が続いている最中だ。
この事件は専門職の在留資格(※3カ月を超えて日本国内に滞在する外国人に求められるさまざまな資格)で入国させたベトナム人男性3人を東北地方の工事現場に派遣し、資格外の単純労働をさせていたとして、李氏以外に誠友会(札幌市)の暴力団員3名、東京のビザ・コンサルティング業「ネフロダイト」の女性社長ら合計8名が逮捕されたもの