函館消防・不正手当問題〈3〉
確認せず決裁印、6年間

2019年8月号

近嵐伸幸・函館市消防長(左端)は、内部調査で確認された不正支給を謝罪しつつ、外部の第三者委員会の設置は「考えていない」とした(7月5日午前、函館市の函館市議会第1 委員会室)

函館市議会で消防本部陳謝。一昨年度に2百人超の不正

「責任を痛感しており、深くお詫び申し上げます」。神妙な面持ちで頭を下げる、函館市消防本部の幹部職員たち。本誌が時間外手当の不正疑惑を指摘してから1カ月半、匿名の告発が市に届いてからは3カ月が過ぎていた。幹部の陳謝で幕を開けた同市議会総務常任委員会では、複数の委員が不正の経緯を質し、またさらなる疑惑を指摘することになる。長期間にわたった不祥事は、公の場でどう報告されたのか――。(取材・文 小笠原 淳)
 

調査の詳細、配布せず。「後日、改めて」と消防長

 
「メモが追いつかない。そのペーパーをいただけないか」「そこにあるのをコピーするだけだし」「提出は可能ですか」――。
 不意の求めを受けた近ちかあらし嵐伸幸・函館市消防長は、一旦はその対応を拒んでいる。
「後日、改めて配布させていただきたいと思います」
 7月5日午前、函館市議会。この日招集された総務常任委員会(斉藤佐知子委員長)で、同市消防本部の幹部職員らは時間外勤務手当の不正受給問題を報告、消防長らが陳謝したのち、内部調査の結果を説明した。委員の間から資料不足を指摘する声が挙がったのは、その報告が終わった直後のことだ。
 各委員の手元には、事案の概要を16行にまとめた文書と、夜勤の消防職員のシフト例を記した表。経緯の説明にあたった消防本部の庶務課長は、調査結果の詳細を綴った書類を手に報告を続けたが、肝腎のその書類は資料として委員に配布されていなかった。
 質疑のために充分な材料を求める委員側は写しの提出を求め、消防長は結果的にこれを受け入れた。委員長が暫時休憩を告げ、議会事務局の職員がコピーに走る。ほどなく配られたA4判紙3枚の書類は、傍聴していた報道関係者の手にも渡ることになった。
 そこには、何が書かれていたか。
 

本年5月23日に函館市内の郵便局から投函された匿名文書は、新たな疑惑を語っていた(7月5日午後、市議会第1委員会室)

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時間外出動の虚偽報告は2012 年ごろ、北消防署職員の「誤解」から始まったという(函館市の函館市北消防署)

時間外出動の虚偽報告は2012 年ごろ、北消防署職員の「誤解」から始まったという(函館市の函館市北消防署)

本年5月23日に函館市内の郵便局から投函された匿名文書は、新たな疑惑を語っていた(7月5日午後、市議会第1委員会室)

 
 
事実関係公表「月内にも」

 前号既報の通り、函館市消防本部(近ちかあらし嵐伸幸消防長)は本年3月、不正手当の存在を指摘する匿名の告発を受けた。
 
 

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