道警不祥事から考える〈32〉覚醒剤再逮捕の元警官に実刑判決
一蓮托生、「おれはサツだぞ」

2019年3月号

元巡査部長と共犯女性は、最初に利用したホテルに丸一日以上滞在、2人で覚醒剤使用を繰り返したという(札幌市中央区)

覚醒剤所持・使用の元警官に実刑。共犯女性に薬物販売、ホテル転々

現職警察官による覚醒剤所持・使用事件は2月上旬、免職となった元巡査部長の実刑判決で一旦、幕を下ろした。公判で明かされたのは、10年以上にわたって薬物捜査に携わってきた彼が自ら覚醒剤に手を出し、時にはインターネットで薬物を販売、挙げ句に若い女性と放蕩生活を続けていた事実。加えて本誌には、捜査情報を漏らされて深刻な被害を蒙ったという人物の憤りの声も寄せられている。転落の軌跡は、短くて急な放物線を描いていた。(小笠原 淳)
 

勤務20年、薬物捜査12年。不肖の“二世”の転落

「主文。被告人を懲役2年6月に処する」
 2月7日午後、札幌地方裁判所。駒田秀和裁判官が滑舌よく宣した刑を、その人はどんな思いで受けとめたか。言い渡し後、彼は小さく頭を下げ、法廷を後にした。
 1週間前の1月30日に同じ法廷で実刑判決を受けた女性は、対照的に「頑張って更生します」と誓いの声を響かせ、深く一礼している。
 ほぼ同時に同じ容疑で逮捕された2人が初めて出会ったのは、昨年7月上旬のこと。1人は現職警察官(当時)、1人は性風俗店従業員(同)。歳の離れた彼らは、その日からおよそ3カ月半にわたって放蕩生活を重ね、ともに司直の手に落ちた。
「行くところまで行くしかないと考えていました」――。
 初公判の法廷で男性がそう告白した通り、行き着く果てはわかりきっていた筈だった。


 札幌中央警察署の薬物銃器対策課に勤務する男性巡査部長(46)が覚醒剤所持で逮捕されたのは、昨年10月10日夜。札幌市東区の郵便局に送られてきたレターパック(特定封筒郵便)を受け取り、近くに駐めていた私用車のホンダ・ステップワゴンに戻ろうとしたところで、待機していた北海道警察の捜査員から職務質問を受けた。レターパックの中には、覚醒剤2袋(約0・9g)と注射器3本。受け取り後に待ち合わせていた筈の相手とは合流を果たせず、その場で身柄を拘束された。
 ススキノ地区のソープランドに勤める女性(23)はそのころ、JR札幌駅直結の商業施設パセオにいた。待ち合わせ相手の逮捕を知る由もなく、約束の場所を目指して施設東口から屋外に出ようとした直前、2人の捜査員に声をかけられる。名を呼ばれ、一度は「違います」と否定したが、隠し通すことはできなかった。荷物の中から注射器10本がみつかり、最寄りの札幌東警察署へ任意同行。採尿の結果、覚醒剤使用が認められて逮捕状が執行された。
 1カ月を経た11月8日、巡査部長の肩書きに「元」の1字が加わった。大学卒業後の1997年から20年あまりを過ごした道警は、真面目な人柄で知られる実父のかつての職場でもある。不肖の“二世”が薬物・銃器の捜査に携わってからは、12年が過ぎていた。

インターネットでの薬物販売を、札幌地検は「それで生計を立てていたとは立証できない」(1月28日夕の記者会見)と、不問に附している(元巡査部長が書き込んだとされる“裏掲示板”の投稿)=メールアドレスの一部と成人向け広告を墨塗り処理しています

元巡査部長の共犯女性とかつて交際していた北海道在住の男性は、彼女が主演したとされるアダルト作品をを視聴して「本人に間違いない」と断言した

遅れる移転計画
課題山積み北海道医療大の北広島移転

厚真の砂利採取場で起きた産廃不法投棄問題を追う

江差パワハラ死問題で交渉決裂
道「因果関係」否定貫く

つしま医療福祉グループ 「ノテ幸栄の里」が新築移転
地域包括ケアの拠点として在宅生活を支援

共犯女性は写真の通路の奥あたりで職務質問を受け、待ち合わせていた元巡査部長と合流できずに身柄を拘束された(札幌市北区)

保釈中、同じ屋根の下での覚醒剤再使用に、警察官だった父親はまったく気づかなかったという(札幌市豊平区)

インターネットでの薬物販売を、札幌地検は「それで生計を立てていたとは立証できない」(1月28日夕の記者会見)と、不問に附している(元巡査部長が書き込んだとされる“裏掲示板”の投稿)=メールアドレスの一部と成人向け広告を墨塗り処理しています

元巡査部長の共犯女性とかつて交際していた北海道在住の男性は、彼女が主演したとされるアダルト作品をを視聴して「本人に間違いない」と断言した

共犯女性は写真の通路の奥あたりで職務質問を受け、待ち合わせていた元巡査部長と合流できずに身柄を拘束された(札幌市北区)

保釈中、同じ屋根の下での覚醒剤再使用に、警察官だった父親はまったく気づかなかったという(札幌市豊平区)

遅れる移転計画
課題山積み北海道医療大の北広島移転

厚真の砂利採取場で起きた産廃不法投棄問題を追う

江差パワハラ死問題で交渉決裂
道「因果関係」否定貫く

つしま医療福祉グループ 「ノテ幸栄の里」が新築移転
地域包括ケアの拠点として在宅生活を支援

目次へ

© 2018 Re Studio All rights reserved.